特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」
東京藝術大学大学美術館|東京都
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鮭の紐の謎
《動植綵絵》が見たい一心で東京行きを決めたのが7月。
会期最後半の土曜日狙いで航空券や宿泊予約取ったものの、上京間際になって、台風接近するわ、セブンチケットはシステム障害になるわで何かと気を揉んだ。
なんとか上野にやってきたが、問題は混雑。
展覧会公式サイトでは整理券発行中とのことで、どんだけ人が多いかと不安だったが来てみてビックリ、行列なしでスンナリ入館、当日券も窓口で並ばず購入できて、なんだか拍子抜け。よかったよかった。
あとは一目散に地下展示室へ。念願の若冲傑作に会えて感激。じっくり鑑賞させてもらった。
実物を見てその素晴らしさは初めてわかる。この人の観察眼はやっぱりすごい。彼のニワトリを超えるニワトリがいたら教えてほしい。国宝指定は遅すぎたぐらいだ。
釈迦三尊は相国寺で見たので、残りはあと20幅。
願わくば、三の丸尚蔵館の新築記念展でコンプリート展示になるのを祈るのみ。
動植綵絵の興奮冷めやらぬまま、次の展示へと移動すれば、そこには高橋由一の《鮭》がポツネンと掛かっている。
ああ、これがあったか。本当に嬉しくなる展覧会だ。
この絵で最も好きなのは、藁紐だ。
新巻鮭の重さが、張り詰めた紐に全集中している構図。
万有引力の法則をこれほど見事に表した絵を私は他に知らない。
小学か中学か忘れたが、この絵を教科書で見て以来、ずっとそう思ってきた。
が、ここに来てちょっとした違和感を感じるようになった。
紐が微妙に斜めになっているからだ。
紐の上端は画面では見えない。下端は鮭の口から入ってエラを通して縛られている。
その状態で吊るせば、鮭は傾くかもしれないが、紐は鉛直方向に真っすぐとなるはずだ。
ところが、この紐は左上から右下方向へ1度か2度くらい傾いているのだ。
これは物理的にありえない。
教科書ではまっすぐだったと思うのだが・・・
なぜかをあれこれ考えてみるのだが、画布を枠に張る際に斜めにしてしまったのではなかろうか。
修復作業も為されているようなので、もしかしたらその時のことかもしれない。
ニワトリとシャケの話ばかりになってしまった。
当展、他の作品も全部が全部、日本の美術を代表するような選りすぐりのものばかりだった。
三の丸尚蔵館も藝大美術館も、コレクションは増えていくばかりだろうから、時には虫干し兼ねて、こうやってお披露目してほしい。
地方巡業もよろしく。