
国立西洋美術館 リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで
国立西洋美術館|東京都
開催期間: ~
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「自然と人のダイアローグ」 ~中秋の名月に自然と人を考える~
中秋の名月でまんまるの満月が煌々とする夜長、リニューアルオープン記念の【自然と人のダイアローグ展】を訪問しました。
会場は東京台東区の西郷さん銅像とパンダのいらっしゃる上野公園の一角、国立西洋美術館。
工事期間を終えて新しくなった美術館の門出を祝した展覧会です。
本展はオランダとの国境に近いドイツ北西部の工業都市エッセンのフォルクヴァング美術館の協力で自然と人の対話(ダイアローグ)
をコンセプトに近代西洋美術の展開をたどる内容。ちなみに館内の半分以上は写真撮影可でした。太っ腹(?)
今回会場は壁の色や囲いのような施工の利用でイベント展示ブースのように分けられていて、雰囲気の違いも楽しめました。
美術館のある都市エッセン、勝手に連想でソーセージ『シャウエッセン』が浮かびますが、ドイツ語「エッセン」は:食事:という意味で、「シャウ」は英語のshow。日本の食品メーカーさんのネーミングによる造語でドイツの方には言っても微妙に通じません。
フォルクヴァング美術館は美術コレクターのカール・E・オストハウス氏の個人コレクションをもとに設立された美術館です。
同じく実業家の松方幸次郎氏の個人コレクションからスタートした西洋美術館に共感部分がありますね。
工業遺跡の世界遺産があるエッセンですが、日本からの観光ルートからは微妙に逸れているので今回の作品も中々お目にかかれず希少な出会いです。
印象派とポスト印象派を軸にドイツ・ロマン主義から20世紀絵画まで絵画や素描、版画、写真等てんこ盛り100点の中から一押し作品をご紹介します。
①《夕日の前に立つ女性》
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ 1818年頃 油彩・カンヴァス
ドイツのロマン主義を代表する画家の代表作の一つで、情景が【朝日】か【夕日】かで今も意見が割れる作品です。
ファーストインプレッションで朝焼けの中、静かに決意を決めた女性のイメージに見えたのですが、多分見る人の気分、
それもポジティブかネガティブかで朝・夕の選択が分かれるのではないかと思います。
作者のフリードリヒは親しい家族に皆先立たれて鬱病を患ったりしたので夕日の可能性が高いようにも思えますが、制昨年にめでたく結婚してるので、
やっぱり朝日じゃないかと勝手な予想です。色彩豊かな作品ではないのですが、静謐な明瞭さというか、惹きつけられます。
②《モンタナ湖から眺めたヴァイスホルン》
フェルディナント・ホドラー 1915年 油彩・カンヴァス
クリムトと並ぶ世紀末芸術の巨匠でスイス紙幣もデザインしたスイスの代表画家、ホドラー晩年の作品。
色彩がとても綺麗です。遠方の紫色を帯びたヴァイスホルンと、眼前に広がる明るい湖の青、岸辺の緑に手前の砂地は黄色で、これで一番手前に赤の色彩があればきれいな虹カラー(⌒∇⌒)。見ていると明るく穏やかな気持ちになります。
③《月の出=サン・ジェルマン界隈=》
パウル・クレー 1915年 水彩・鉛筆・カルトン紙
中秋の名月という鑑賞日にぴったりな題材の作者はホドラーと同じくスイス出身の抽象画の先駆けとなったパウル・クレー。
夜のパリの街を照らす満月。しかし夜の割には画面下の街の建物は黄色やグリーン、オレンジと明るい暖色系で寒々しい夜景というより月がどこか人間の営みを見守っているようにも感じられます。アースカラーを思わせる配色は、制昨年にアフリカ旅行をした影響かもしれません。
作品近くの壁には、クレーの自然に対する考察と作品反映のコメントがあり、なんとも余韻があります。
その他日本人が大好きなゴッホ作品は安定の人だかり、他ゴッホの友人ゴーギャン、印象派巨匠のルノワール、モネ、セザンヌと
西洋美術館とのコラボ展示をじっくり鑑賞しました。
グッズコーナーはレイアウトも特に変わりなく、やや手狭なままなのが少々残念ですね。
ロッカースペースの移動とかでレイアウト変わるかなと予想してたのですが、そのままでした。
ダイエット気にしていたのに展覧会コラボのクッキー購入。少しずついただきます。節制。。。
会場を出ると、ロダンの【考える人】や【地獄の門】等、新たな配置になった彫刻作品を満月が照らして抒情的な上野公園。
新たな西洋美術館のスタートに幸あらんことを祈ります。
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