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メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年

メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年

国立新美術館|東京都

開催期間:

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絵画のアベンジャーズからシネマに寄せて「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」

年明けから待ちかねていたメトロポリタン美術館展の鑑賞に東京の乃木坂、国立新美術館を訪問しました。

世界3大美術館の1つ、メトロポリタン美術館=愛称METはアメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタン中心にある世界最大級の美術館。
毎年5月に開催されるファッションイベント【METガラ】の方が一般的に有名ですね。
映画【プラダを着た悪魔】でM・ストリープが演じたファッション誌「ヴォーグ」のカリスマ編集長が主催メンバーになってからの近年は
美術館の催しというより、セレブ感やらキラキラ感、そして盛装というより仮装感が割り増しした一大イベントになっています。

建物は5代目007のピアース・ブロスナン主演映画【トーマス・C・アフェア】でモネ作品が主人公によって盗まれ、女優版アベンジャーズのような【オーシャンズ8】ではサンドラ・ブロック、リアーナ等が演じる泥棒にカルティエダイヤモンドネックレスが盗まれる(・・・どっちも盗難(笑))お話の舞台になっています。

そんな美術館というよりもエンターテインメント会場な側面が強いメトロポリタン美術館の所蔵展。
日本初上陸作品が46作品も紹介されていて、映画鑑賞前のようにテンションも上がります♪

入場はコロナ対応の時間予約制で、会場のインテリアはラベンダーカラーの壁でシンプルな設営。時代の変遷に沿った会場の区分けになっています。アンジェリコの初期イタリアルネサンス作品から始まり、1900年代のモネの【睡蓮】まで展示され、ラスト会場は映像で年表と作品紹介が纏められています。
全作品共通で言えるのは、保存監理が素晴らしく、ルネサンスの作品も一見100年経ってないのではと思える鮮明さ、素晴らしいです!
ラファエロ、レンブラント、ターナー、マネ、ゴヤ、ルノワール、セザンヌと画家も巨匠ばかりでアベンジャーズなランナップが眩しい。

華やかな初上陸の作品からアメリカ映画を絡めてに注目作をピックします。

①【パリスの審判】ルーカス・クラーナハ(父)
 1528年頃 油彩・板
 ◆映画『トロイ』2004年米制作。B・ピット、O・ブルーム、E・バナ出演。

まずはクラーナハの【パリスの審判】。工房制のおかげか同じ主題作が他にも結構ありますが、これは予備知識無いと少々解り難く個性が強めな作品です。やや吊り上がった猫眼の華奢な美女、ついでにヌード率も高めなのがクラーナハの特徴の1つ。
題名のネタ元はギリシャ神話。
めでたい結婚式に招かれなかった不和(諍いとか争い)の女神エリス。(…結婚式には不向きですしね)
招待されなかった腹いせに、彼女は「最も美しい女性へお祝いのプレゼント」と黄金のリンゴを会場に進呈します。
すると招待客の3人の女神が「私こそリンゴにふさわしい=美しい」と主張して収拾がつかないキャットファイト状態に。

・・・結婚式ぶち壊しですね、さすがは不和の女神。
挙句に全能神様が何故かトロイの王子パリスに決めさせるとを丸投げ。
「え?!なんで関係ない人間に!?大迷惑!!」と思っても神話なのでスルーです。
パリスのもとにやってきた女神達は報酬(=賄賂)を持ち掛けて自分にリンゴを渡すようパリスを唆します。
結果勝利したのは『絶世の美女をプレゼント』と約束した美の女神アフロディーテ。
そしてプレゼントの美女はスパルタの王妃ヘレネで、まさかの人妻です!
人妻を勝手にプレゼント確約する美の女神という、ありえなさ満載。なんでもござれギリシア神話です(笑)
絵に戻ると、甲冑姿の若者がパリス、右横の老人が伝令神へルメスです。その横に3人の女神。
正直顔が三つ子状態で女神の判別は厳しいですが、帽子姿の中央女性がアフロディーテと予測されます。
画面左上のキューピッドが(リンゴ争奪の優勝者として)狙いをつけ示しているし恰好が派手なので(笑)。
肝心のリンゴ持ってないし、ヘルメスも本来は老人では無いのですが、クラーナハは当時の世相に当て嵌め
勝手に脚色しています。けっこう自由ですねクラーナハ。。。

このパリス神話で思い出される映画が『トロイ』。
パリス王子を『パイレーツカリビアン』シリーズのオーランンド・ブルーム、アキレス腱の元ネタ英雄アキレスを『オーシャンズ11』のブラッド・ピットが演じています。配役イケメン揃いで目移りします。
勝手に賞品にされたスパルタ王妃ヘレネを演じているのはドイツ系美女ダイアン・クルーガー。神話通りの話ではありませんが、栄枯盛衰な古代ギリシャ世界にタイムスリップ気分が味わえますね。
 
②【ヴィーナスの化粧】フランソワ・ブーシェ
 1751年 油彩・カンヴァス
 ◆映画『マリー・アントワネット』2006年米仏制作。ソフィア・コッポラ監督、キルスティン・ダンスト主演

作者は生涯に千枚以上の絵画を量産したパワーの持ち主ブーシェ。肖像画や神話画が得意なロココ絵画の代表作家です。
フランス国王ルイ15世の公妾ポンパドゥール夫人をパトロンに持ち、作品も夫人のために建造されたお城の浴室用装飾画で、《ヴィーナスの水浴》(ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵)と対になっています。
美の女神ヴィーナスというのは呼び方違うだけで、愛の女神アフロディーテと同一人物。①の戦争の根源になる迷惑な女神との印象落差が凄いですね(笑)。
美女の浴室を飾るに相応しく、作品は全体が明るい色彩で華やかで軽やかな印象。キューピッドに囲まれた女神が美しいです。肌は磁器のように白く滑らかで、ほんのりエロスを感じつつも可愛い。。。
女神が抱っこするふくふくした白鳩はアトリビュート(象徴物)で愛を表し、海から生まれる真珠や貝等、海の泡から生まれた女神の象徴が散りばめられています。

この作品完成の20年後にフランス王家に嫁いでくるのがかの有名なマリー・アントワネット。
ポンパドゥール夫人やブーシェが作り上げた宮廷文化にたった1人で飛び込んだオーストリア皇女です。推奨したいのがS・コッポラ監督映画「マリー・アントワネット」。主人公のマリーは、14歳(日本なら中学2年です)でいきなり隣国に嫁いで右往左往しながらも人生を謳歌しようとする等身大の少女を描いています。美女というより可愛い系統のキルスティン・ダンストのスカートが膨らみまくったパニエ衣装や、取り巻くカラフルなスウィーツが可愛いらしく、ロココ時代のフランス文化とファッションに浸れます。そして美味しそうなお菓子が食べたくなりますが、マリーが言ったとされる有名なセリフ

『パンが無ければケーキを食べればいいじゃない』

これはフィクションで彼女は言ってません。
現代ならSNSのフェイクニュース拡散に近い状況だったようで、イメージダウンの風評被害です。
パリス神話のヘレネ王妃しかり、どちらの時代の王妃も悲劇なのがせつないですね。。。

珠玉の主役級作品ばかりで満腹気分になるメトロポリタン美術館展。必見です。

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