フランソワ・ポンポン展
名古屋市美術館|愛知県
開催期間: ~
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動物への愛を感じた彫刻たち
私は美術には全く詳しくなく、フランソワ・ポンポン氏についても全く存じ上げておりませんでした。しかし、駅で見かけた「シロクマ」の写真が載ったポスターを見た際に、その可愛らしさに強く惹かれ、夫婦で今回の回顧展に行ってみよう、ということとなり、訪問をさせていただきました。
ポンポン氏が、当初は人物彫刻を製作されていたこと。代表作である「シロクマ」の彫刻が、晩年になって製作されたものであったこと。助手の時代が長く、独立されてからの僅かな期間でたくさんの作品を生み出されたこと。全て知らないことばかりで、ポンポン氏の生涯を、実際の作品とともに辿ることができ、大変感銘を受けました。
展示品を見ていく中で、彫刻を作るというのは、単にその対象物をコピーするという単純な仕事ではないのだ、ということを強く感じました。なぜなら、彫刻には製作者の仕事に対する考え方や熱意といったものが表出され、作品を見た者に強く伝わるものであると感じたからです。
ポンポン氏の作品の動物彫刻に対する愛情の深さは、飼い鳥の「ニコラ」を抱いている写真や、動物をスケッチした手帳の展示品からも窺い知ることが出来ました。
作品においては、同じ動物に対する彫刻の特徴が、製作された年によって変化していること(例えば「黒豹」のしっぽの形や、その姿勢が段々と低く変化していくこと)などから、ポンポン氏の仕事に対して、決して妥協しない姿勢を読み取ることが出来ました。
最後に、「動物彫刻は写実的に製作されるべきである」と考えられていた時代に、単純化を試みた動物彫刻を多く製作し新たな時代を切り開いていったことは、どれほど勇気の必要なことであったのだろうか、と感じました。
いつかオルセー美術館へ本物の「シロクマ」を見に行くことを夢に見ながら、私も自分の成すべき仕事を妥協することなく、頑張っていこうと思いました。コロナ禍の中、本回顧展を開催してくださったことに感謝申し上げます。
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- BY mamepyon0930