開館記念特別展 モディリアーニ展 ─愛と創作に捧げた35年─
大阪中之島美術館|大阪府
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35年の人生を称えたい
今年2月にようやく開館した中之島美術館。建築構想から40年、バブル崩壊等諸事情により計画が頓挫し、やっとオープンに漕ぎ着けたという過程を知る者としては感慨深いものがある。
今回はモディリアーニ展である。
自身もその一員であった「エコール・ド・パリ」のアーティストや同時期に活躍したアーティストの作品を紹介しながら、本人の作品群に繋げるという構成になっている。
多くの有名どころのアーティストが一堂に会していたが、思いがけず大好きなユトリロや藤田嗣治の作品に出会えたのは嬉しかった。
他にもピカソやルノアールなどの作品もあったが、つくづくこの時代のパリを舞台に活躍したアーティストは類稀なる才能に溢れ、我々の心を震わせる作品を多く生み出していたのだと感じさせる。
そして、メインのモディリアーニの作品群。破滅的な生活の末、極貧の中、35歳で夭折。身重だった妻ジャンヌも後追い自殺するという悲しい物語は有名だが、彼が描き出した作品はその人生とは余りにも対象的に生命力に溢れ、輝いて見えた。
モディリアーニの描く人物画は皆一様に首が長く、細長い顔で瞳には光を描き込まないという特徴で知られている。しかし、そのような様式美にすることによって、かえって各々の作品に違う精神性を吹き込み、鑑賞者に肖像の内側から滲み出る感情や意志を感じ取らせるように思う。
その中でも強烈な印象を残したのは「髪をほどいた横たわる裸婦」である。裸婦像というと「艶めかしい」や「肉感的」等の言葉で形容されることが多いが、本作品にそれは当てはまらない。薔薇色の肌をした裸婦が横長のキャンバス一杯に描かれており、彼女の大きな瞳がしっかり、こちらを見据えているのだが、全身から光を放ち、神々しさ、また、力強さも感じさせる。心血を注ぎ描き上げたであろう画家の姿が目に浮かぶようである。
短い人生で創り急ぐように多くの彫刻や絵画を遺したモディリアーニ。彼の作品は後世の人々に感動を与えてくれ、称賛されるべきであろう。しかし、願わくば、ピカソのように長生きし、自身の内面の成熟度や時代の流れによって変遷する彼の作品も見てみたかったとも思った。
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- BY springwell21