ムーミン展 THE ART AND THE STORY
静岡県立美術館|静岡県
開催期間: ~
- VIEW450
- THANKS1
ムーミントロール
ムーミン。それは多くの人が知るキャラクター。ムーミンパパ、ママ、スナフキン、ミイ、ニョロニョロなどキャラクターの名前はどんどん出てくるのに私には物語が思い出せない。アニメで見たムーミンの物語は、ポケットから秘密兵器が出すわけでも、世界中を冒険したり、感動的な最終回があるわけでもない。主人公のムーミンが家族や仲間から色んなことを学びながら成長していく所謂有りがちな話だが、ほのぼのしているのに哀愁が漂う世界観が何ともいえず心に沁みる。ところで、展示物を見ていても「ノンノン」「フローレン」という名前が出てこない。原作の小説では「スノークのおじょうさん」と言うらしい。ガールフレンドに名前がないというのは不思議だが、ムーミンの公式サイトの説明によるとムーミンのキャラクターは種族名か、種族名+属性で呼ばれることが多いようだ。そう。アニメで知ったムーミンは、もともとフィンランドのトーベ・ヤンソンが書いた小説なのである。ムーミン小説の第1作は1945年に出版された『小さなトロールと大きな洪水』。「トロール」とは北欧の伝承に登場する妖精の一種だが、ムーミンは妖精ではなくトーベ・ヤンソンが作り出した「ムーミン族の男の子」という生き物だそうだ。(分かったような、分からないような。。)1945年といえば第二次世界大戦が終わった年。フィンランドもドイツとのラップランド戦争が終わったばかりの時代に妖精なのかカバなのか何だかわからないキャラクターの夢物語を出版するなんて恐らく簡単では無かっただろう。でも、あまりに現実が悲惨だと夢の世界に逃避したくなるのも人間の心理なのかもしれない。ちなみに小説の方ではムーミンパパが船で大冒険するなど案外スケールが大きい。展示会では小説で使われた小さな挿絵もたくさんあり、お茶目なミイのスケッチにはトーベが楽しんで描いていた一面も見られる。ムーミンはその後、新聞に掲載され、絵本になり、1969年から日本でのアニメが始まる。サザエさんやタイガーマスクが始まったのと同じ年だ。静岡県立美術館での展示はもうすぐ終わってしまうが、ムーミン展はきっと今後も様々な形で開かれるはずなので、そんな歴史背景も知って更に楽しんでもらいたい。
- THANKS!をクリックしたユーザー
- シンディさん