ムーミン コミックス展
茨城県近代美術館|茨城県
開催期間: ~
- VIEW528
- THANKS0
時と海を越えて
辺りを海に囲まれたアジアの小さな島国「日本」 自分とその他1億を越える様々な人の暮らすこの地に、50年以上も前に、それも日本とは程遠い北欧の国で誕生した作品の、原画やスケッチといった実際に作者の手で描かれた''私たちの知るムーミン''の根源が、自分の手で触れられる程の近さで鑑賞出来るという事は、考えれば考える程に妙にも思え、信じ難い。
だが、その鑑賞の最中にいる人々を''ムーミン コミックス展''がその現実を客観視出来ぬほどの興奮で覆い包むのだ。
それに魅せられて過ぎた時間はあまりにも短く、尊い。その刹那的な興奮が日を増すごとにその色を濃くし、脳も心をも侵食していく。言わば''ムーミンのパラサイト''がどこまでも止まらない。あまりに心地の良い患いである。そしてこれは誰もが処方箋は貰わずにこの余韻に浸るのだ。
実際に鑑賞した際に初めて出会うムーミン誕生のバックボーンや、貴重な展示品。それらはどこまでも私たちの想像力を掻き立てて、気づけばそこに纏わるストーリーを調べる事を余儀なくされているかのように、''ムーミン''に没頭している自分がいるのだ。
ムーミンという作品の''娯楽''の範疇を飛び越えた楽しみを、この''ムーミン コミックス展''により私たちは覚えるのだ。
トーベ・ヤンソンのどこか優しく、可愛らしい印象を覚えるとっつきやすいキャラクターデザイン。そして風刺的なストーリーや、ドキッとするような人間の心に訴えかけるフレーズの一つ一つ。
知らぬ人は皆無と言えようこの''ムーミン作品''が如何にして世界でのこの圧倒的な支持を得る事となるのか。
この''ムーミン コミックス展''で、その中の答えを少しばかり知ることが出来よう。
紛れもなく素晴らしい作品の、紛れもないリアルを体験できるどこまでもムーミン好きの心の奥底を突き、くすぐるようなこの''ムーミン コミックス展''
この素晴らしき展示会に、ムーミン好きが出向かわない理由など何処にもないのだ。