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INSECTS×SIMOSE—昆虫アートの現在地

INSECTS×SIMOSE—昆虫アートの現在地

下瀬美術館|広島県

開催期間:

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虫愛づる作家たち

今年は梅雨明けが早く、夏が長くて私は大喜びしています。寒いより暑いほうが断然好きですから。虫もそうでしょう(笑)
7月上旬にはクマゼミ鳴き始めましたし、お盆前にツクツクボウシを聞いたのは初めてかもしれません。そして昨日はコオロギの初鳴きを聞きました。
暦ではとっくに秋ですが、草むらで鳴く虫たちに、ああ夏が終わるんだなあと切なくなる今日この頃です。

盆の真っ最中に下瀬美術館に行きました。新規オープン展以来ですから、2年ぶり2回目の訪問です。
あの時はGWの真っ最中で、新設美術館のオープニングということで、展覧会よりも海辺の洒落た施設見たさのお客さんで大混雑でしたが、今回もお盆の帰省客等でごったがえしてました。

今回企画展タイトルは「昆虫アートの現在地」です。最新の虫アートが見れると、昭和の昆虫少年転じて令和の昆虫ジジイは超ワクワクです(笑)
会場入ってまず現れるのはホンモノの昆虫標本。福井敬貴という人の作ですが、そのまま出したんじゃアートになりません。ってことで、木の枝取ってきて虫をとまらせてます。
次の樋口明宏作品もホンモノ流用。クワガタやゴキブリ標本に漆塗り、さらには金粉銀粉散布してデコレーションです。
これは反則だよなあ。ホンモノだけで十分美しいアートなのが昆虫。それに小細工しちゃあおしまいよ。
ですが、イントロダクションってことで許しましょうか。

で、いよいよ次からは、ホンモノの芸術作品が続々登場です。ほぼ展示順にいくつかご紹介します。
作家名の敬称は略させていただきます。

満田晴穂
いきなり出ました! 「自在」昆虫作りの大家です。この人の作品展見に、わたしゃ米子まで行きましたからね。
今回は3点が来てました。オオクワガタ、ハナカマキリ、クロアゲハです。これらすべて手仕事による金属製、しかも「自在」ですから手足も羽も可動です。
そんなん、3Dプリンター使えば一発じゃんと言うかたには、このメタルクワガタの良さは何を言っても無駄でしょう。スーパーリアリズム絵画と写真の比較をするのは無意味なように。
とにかく満田作品は一度でいいから触りたい。今はただ、クワガタの顎を動かし、手足を曲げ、羽を広げて愛でてみたいという妄想に耽るのみ。

齋藤徳幸
続いては、素材が一転して硬から軟へ。竹細工のショウリョウバッタとハナカマキリが登場です。
これもスゴイ! 特に羽の薄さを出すのに、孟宗竹のカンナ屑みたいな薄片を用いてること。
今回出展品の中では最軽量の部類でしょう。どうやって運搬されたのかも興味あります。

ウチダリナ
これも軽量級作品。こちらは和紙。ただし単なる紙細工に非ず。和紙に施したのは「焦がし」です。そして焦がし和紙で作られたのが、蛾。
これも、見たら本物の気色悪いやつがとまっているかのよう。発想の素晴らしさと、それを現実にする高度な技術にしばし見入ってしまいます。

佐藤正和重孝
「さとうせいわしげよし」と読みます。本名かどうかは知りません(笑)
齋藤&ウチダ作品がミニマム級ならヘビー級はこちら。このかたの素材は御影石です。それも黒御影。黒だからこれはもう、カブトムシ一択と言っていいでしょう。
黒御影を粗く彫って削ってできたカブトムシはトルソです。豪快なその姿と重量感が見る者にズシリと響きます。

福田亨
先ごろ開催された「超絶技巧展 part3」にて見た作品に感動したばかりですが、当展にはその《給水》と、最新作の《Niwa-雪解け》の2作が出展。
前者での驚愕の水の質感表現、後者では水面の反射を鏡で表しました。そこにやってきた蝶は今にも水を求めて舞い降りそう。

堀貴春
今回最も感動したのがこの作者さん。まだ29歳だそう。
《イチリンザシソックリムシ》は、磁器によるトランスフォーマー。カブトムシのような虫がダンゴムシのように丸まって球体に変化する様を変態前と変態後の2種で展示してありますが、それが磁器製というのがアンビリーバブル。
焼き物でこれをやるのはまさに超絶技術。造形時の緻密な寸法精度と焼成時の諸条件を完璧に満たさねば実現不可能な作品です。
もう1点が《ELEC Actuate Mantis》。これも超絶磁器。カマキリの標本に釉薬かけて焼き上げたらできたかのようなリアルさ。触角の細さ、鎌や脚の鋭さ、全体のバランス、どこをどう見てもこれが磁器だとは思えません。白磁の美しさを感じて初めてこれはアートだと我に返るのです。
このカマキリ、山下裕二先生に是非とも国宝に推挙してもらいたいです。

他の作者さん方も昆虫愛があふれる素晴らしい作品を出しておられます。
昆虫画で印象的だったのは諏訪敦《シャーレに家蚕》。この絵を描くのに諏訪さんは蚕を飼ってみたんですと。
繭から孵った蚕蛾の絵を見て、私も小学生時代に蚕を飼った思い出が甦りました。
諏訪さんのもう1点のタイトルが《蟲愛づる姫君》。ですよね(笑) 昆虫アート展やるならどこかで堤中納言物語を出さないとね。
にしても、平安時代から千年の時を経ても、「世に虫好きの種は尽きまじ」ってとこですかね。

さて、この企画展の後半はガレの作品で占められます。正直、これは不要でした。せっかく現代の昆虫アートに酔いしれてたのに興ざめしてしまいました。
私がガレ嫌いなのもありますが、出すなら参考程度に1~2点で十分でした。その分、日本人作家の昆虫アートを各人もう2~3点ずつ増やせば申し分なかったと思います。
ただ、ガレは木工の象嵌もやってたというのは初めて知りました。虫や草花を象嵌で飾った家具類は、ガラス器よりは良かったと思います。

最後に下瀬美術館についてのショートコメントを。
1昨年に開館し、昨年にはユネスコの「世界一美しい美術館」として表彰されたので有名になりました。
それを聞いた時は「えー??? 嘘でしょ」って思いました。2年前、新規オープン時に訪問したときの感想は、目の前の瀬戸内海を挟んで向こうが宮島というロケーションは最高だけど、大鳥居は見えないし、むしろ右手に見える工場群が気になるなあってことでした。
8個のカラフルなキューブ状展示室が水盤上に浮かぶという設計もユニークなのですが、どう見てもプレハブかコンテナのBOXだし、色もパステルカラーで、妙な違和感しか覚えませんでした。良いと思えばAAの美術館レビューにすぐにでも投稿するのですが、私は原則★5個の美術館しか書かないのでやめました。
でもまあ、アート文化不毛の地だった大竹市にこのような美術館ができたことは非常に喜ばしいし、企画展もだんだん良くなってきているとは思うので今後に期待したいし、再訪もありありです。
当館のもう一つのウリの「ガレの庭」、初訪時はまだ造成中みたいな状態でしたが、このお盆はいろんな草木が根付いてきておりリンドウが満開でした。
屋上に上がる屋外小道脇の斜面はもうじきコスモスが満開になります。四季の花々を愛でるのも当館に来る楽しみの一つでしょう。
当館へのアクセスですが、JR大竹駅から無料のシャトルバスが出ています。マイカーは無料の駐車場が50台分ぐらいはあります。
東京方面から空路で来られる場合は、広島空港より岩国錦帯橋空港が便利です。錦帯橋や岩国城観光の後、山陽本線で岩国から2駅目が大竹です。
下瀬美術館の後は山陽本線宮島口駅から宮島へ渡り厳島神社を参拝、弥山に登れば下瀬美術館も上から眺められると思います。

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Gregory1969さん、さいさん

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