コレクション展 新・古美術鑑賞 ―いにしえを想いて愛せる未来かな
奈良県立美術館|奈良県
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国宝展の疲れ癒します
2025春の奈良県美コレクション企画展は奈良博国宝展の裏開催ということで、ヒジョーに目立たない展覧会でしたが、その中身はヒジョーに良質で好感持てるものでした。奈良博の後に行ってみたら、いつものようにお客さんは少なく、静かに優雅にのんびりと名品コレクションの数々を堪能できました。
展覧会タイトルが「いにしえを想いて愛せる未来かな」。
これだけではどんな内容かは皆目不明、サブタイトルの「新・古美術鑑賞」で少し見えてくるかってとこですが、要するに古美術です(笑)
当展を紹介する美術館の言葉がヒジョーに良かったので転載させてもらいます。
「美術がなくても人は生きていけますが、美術は日々に彩りをもたらしてくれます。過去の人々の思いを載せた美術を鑑賞することは、現代を生きるわたしたち自身と向き合う時間にもなるでしょう。花を愛でるように、歌を口ずさむように、古美術を楽しんでみませんか。」
ということで、展覧会場へ。当展の構成は4章立てで、屏風、掛軸、扇面、そして浮世絵です。
会場冒頭には室町~江戸期の屏風が七点並びます。
うち、伝雪舟が二作品、《秋冬山水図屏風》、《群猿群禽図屏風》。「伝」ですけど雪舟作ですと言っても問題ないかと。
この第1章「屏風」のコーナーでは屏風の特性「折れ曲がる」点に着目し、見せ方を工夫してます。
例えば、《吉原遊興図》は六曲一隻の屏風ですが、右端と左端のみを曲げ、その間の4面は折らずに立ててあります。
そうすることで、遊郭内の男女の秘め事を覗き見するようなリアル感が出ると言う趣向です。
第2章は掛軸。ここでは当館のエース級二作品が登場。菊池容斎《五百羅漢図》と曽我蕭白《美人図》です。
両方とも各地への出張が多いので超有名な作品ですね。
前者は「芋の子を洗う」五百羅漢で、普通なら軸画1枚の中に500人もの羅漢さんを描き切れるはずないものを強制的に押し込めた傑作です。
蕭白の美人画はいかにも蕭白な作品。これも常道美人から逸脱した、いわば「狂女」です。(コンプラに引っかかる語句ですが日本語で表現するならこれしかありません。)
裸足、乱れた着物、引き裂かれた恋文をくわえ薄ら笑いを浮かべている。美しさと恐怖が同居した一人の女性もまた大傑作です。
この章には芦雪《幽魂の図》とか伝呉春《千利休像》なんかもあって、楽しめます。
第3章の扇面は全12点が展示。扇に描いた絵はもちろん、扇型の枠内に描いた浮世絵、扇を製作する店の絵など、工夫を凝らした展示となってます。
第4章が浮世絵で、出展数では当展の大半を占めます。前後期合わせて約70点で、同じ作者の異作品、似たモチーフの異作者作品などで、前期後期半々ずつの展示となってます。
作者は皆さまご存知の有名どころがズラリ。浮世絵師のWho's Whoといったとこでしょうか。あの絵師は出てるかなと思えば、安心してください。出てますよ。と返してくれるラインナップです。
会場には地元中学生か修学旅行生か、現地取材鑑賞みたいなグループが来てました。
まさに古美術入門にはうってつけの展覧会なので、ナイスな体験だったと思います。
奈良県美は、奈良県庁の北側にひっそりとあります。建物は古いですが中は清掃が行き届いてて床はピカピカです。本当に気持ちいい美術館で私は好きですね。
企画展もしっかりしてるし、巡回展もハイクオリティなものを引っ張ってきます。ウエブサイトはダサイですが、外見より中身重視で頑張ってますといったところでしょうか。
西向かいの奈良県文化会館はリニューアル工事に入ってますが、美術館はまだ先みたいです。
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