没後80年 小原古邨 ―鳥たちの楽園
太田記念美術館|東京都
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匂い立つ花々と生き物たちの息遣いを感じる傑作の数々
小原古邨を知ってから長い間、鑑賞の機会に恵まれず、長らく憧れていたのですが、ようやく鑑賞することができました。
小さな美術館の中にずらりと展示された作品たちは、どれも静謐でやさしく、生き物たちの一瞬のきらめきを映しとったような傑作ばかりでした。
風に揺られ匂い立つ花々、鳥たちの息遣いや彼らの想いまで透けて見えるようなまなざし…
木版画でありながら、水彩画のような淡く美しい表現を版画に携わる職人たちの技術の高さで可能にし、羽毛の柔らかさや水面の揺らめき、花弁の質感までも感じ取ることができる緻密で優美な作品を生み出した小原古邨。彼の描いた作品からは、生き物たちへの深い愛情を感じることができました。
特にキービジュアルになっている『踊る狐』の滑稽で可愛らしい姿、『蓮に雀』の蓮の花弁の柔らかな色彩の美しさ・雀の可愛らしさのなんとも言えない感じ、そして『蝶を奪い合うひよこ』の無邪気な愛らしさとひよこの毛のふわふわとした質感の描写、『雪に真鴨』の構図のすばらしさ・鴨の羽根や雪の描写が深く印象に残っています。
間違いなく、新版画の絵師の中で代表格として評価されるべき存在なのに日本国内ではなぜか過小評価されている気がする小原古邨。海外輸出用の作品を作っていたせいなのだろうか…?
鑑賞してみるとその作風は日本画的な様式美にのっとった作風の中に、西洋画的な遠近感や動いてる?と錯覚するような躍動感があって、さらに博物画のような写実表現も用いられていて…それらが良い感じに混ざり合って、強い独自性を持った「超日本的」作品だと思いました。
西洋の文化が生活に浸透していく時代のなかで、急速に衰退していく版画の将来を憂え、より版画の可能性や日本的な美に真摯に向き合ったのではないかと感じられる、素晴らしい作品の数々を鑑賞することができて本当に良かったです。