オルセー美術館所蔵 印象派ー室内をめぐる物語
国立西洋美術館|東京都
開催期間: ~
- VIEW325
- THANKS2
オシャレでスマートで気の利いた、ライトな印象派展。
印象派の展示は、モネやルノワールをはじめ日本・東京でよく開催されている気がします。もともと日本人好みなところがありますが、昨今はさらに現代のセンスとマッチしてきて印象派の人気が増している気もしますね。
その人気が故に「また開催するのか」とすら思えてくるのですが、今回は「室内」をテーマに掲げ差別化を図っているのが面白い工夫に感じます。
フロアごとにコンセプトを分けた章仕立てになっており、それが結果的にやんわりとですが時系列になっています。その中で、広告などで見た際に屋外を描いた作品があるじゃないかと思いきや「室内装飾としての風景画」という印象派絵画の側面にスポットを当てたというコンセプトなのは上手い纏め方と思いました。
「室内や日常を描いた肖像」では印象派前、黎明期を中心としておりセザンヌ・モネ・ドガ・マネの初期の作品や肖像画があり、構図や目的が似ているのでしっかりと個性の比較ができて楽しい。
初期のドガの「家族の肖像」をはじめ、「L. L.嬢の肖像」など印象派以外の作品も展示してあるので、方向性の違いくっきりと感じられる。個人的には印象派を中心とした画家たちの交流が描かれた「バジールのアトリエ」が見れて既に満足です。
人気の画題であり、交流場となっていた「温室」と花を軸に美麗な絵画が展示されており、マネ・セザンヌ・ルノワール・シスレーなどの花を描いた作品が親切に並べられててそれぞれの個性が際立ちます。
中でも、アルベール・バルトロメの「温室の中で」は、モデルの奥さんが着ていた実際のドレスも併せて展示されるという貴重で素敵な演出。さらには窓枠風の装飾に加え裏側まで丁寧な展示がされており、とても絵画を映えさせる配慮がされておりました。
一度地下に降りると「ジャポニズム影響下の作品」が展示。印象派やポスト印象派にとって重要なファクターのひとつであるジャポニズムに関する絵画と、ガレを中心とした花瓶、食器、インテリアなども展示。どこか日本風だけではなく、中華風・インド風などオリエンタルな要素入り混じり、アジア文化が線引きなく未知で新しい要素として、興味深く奇異の目で見られていたのかが伝わってきます。
「室内装飾としての風景画」では印象派作品が、室内装飾としての役割を担っていたことが説明され、青々と生い茂った緑が美しい絵画が数多く展示。松方コレクションのモネの睡蓮、壁紙として制作されたカイユボットの花柄の絵画に加え、ベルト・モリゾ自らが設計したアトリエを再現した模型も展示。
作品以外も素晴らしかったです。展示の仕方も流石は西洋美術館といったオシャレで気の利いた作りになっており、メイン格の絵画の付近には関係性のある家具が置いてあったり装飾などがされていて雰囲気づくりに気が配られております。各フロアはそれぞれの章にあわせて壁の色に変化をつけ、一度下の階に降りてまた上がる順序になっているのですが、降りる前に窓のようなスキマからチラリと奥に「風景画」を取り扱った最終章のフロアが見えるという粋な演出も。音声ガイドも上白石萌音さんの優しくやわらかな声が展示にピッタリで、男性アナウンサーの方が説明を添えるスタイルが丁寧かつ心地よく素敵でした。
印象派画家が抱えていた世間や時代に対する軋轢と葛藤、グループ内外で起きていたスタイルウォーズについてなど重くディープな話はあまり触れられず、全体的に内容はライトで美麗な絵画を中心とされており、良い意味でアッサリとしている印象がありました。ポスターに使われているドガの「家族の肖像」、グッズにも使われている「L. L.嬢の肖像」「温室の中で」など印象派絵画と言い難い作品もありますが線引きが緩いのも魅力の一つかもしれません。
デートにも気分転換にも良いような気軽で見やすい素敵な展示でした。
-----------------------
なお平日だったので、そこまでの込み具合ではなくそこそこ快適に見れたのですが、グッズ売り場はなかなか大変なことになっておりました…。施設外に長蛇の列が並び、入場規制がかかり、入るとギュウギュウ詰めでとてもゆっくり選べる状態ではない。グッズに力が入っているようで、FEILER、LADURÉE、MARIAGE FRÈRESなど人気で上質な企業とのコラボをはじめオシャレでかわいいグッズが大量で、女性を中心にとんでもない人気になっているようです。活気があることは嬉しいのですが流石にもうちょっとスペースが欲しい所でした…。会期終了前は展示・グッズ売り場共にとんでもない事になりそうなので、早めの訪問をオススメします。