眼差しの手入れ
京都芸術センター|京都府
開催期間: ~
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体験の空間
NHK日曜美術館で内藤礼特集を観た。オブジェを配置し、空間ごと作品化するというのが、いつも行っている絵画の展覧会と違っていて面白かった。また、普段絵画を鑑賞する時には、何を描いているのか、だけでなくどのように描かれているのか(how)という視点を持つように心掛けているが、内藤の作品からは、そのオブジェを通して何を表現しようとしているのか、そのオブジェの向こう側に何を見出すのか(what)という視点が喚起された。ここには、作品を分析することと作品から感じることの違いがあると思う。この2つは両立可能なのか、など、色々考えさせられる回だった。
というわけで、同じくオブジェを用いた表現が鑑賞できそうだった「眼差しの手入れ」展に行ってみた。京都芸術センターに到着し、門からまっすぐ正面の建物に入った。チケットが必要なのかまごまごしたが、掲示されたチラシに「無料」と書かれていたので、思い切って奥へ進んだ。初めて来た美術館だったため、どこからどこまでが「展示室」かわからず、周りの全てが意味ありげに見える。
まっすぐ進み、ギャラリー南にまず入る。白い部屋の中、手前に柵があり、ヤシの木のオブジェと室外機。いずれもデフォルメされている。わけがわからない。たまたま係の人もいなかったため、大変なところに来てしまったと思う。たまらず、入口に置いてあった紙を手に取る。地図のうち、展示スペースに網掛けがしてあって、展示室の外にも網掛けがしてある。勇気を出して、右隅の半開きになったドアをおし、外に出てみる。角を曲がると、ワイヤーやジョウロみたいなオブジェが置いてあり、ここも「展示スペース」なのだとほっとする。地面にはドクダミが茂っていて、歩くところは踏みしめられて道になっている。中学校の校舎の隅を思い出した。
来た道を戻り、ギャラリー北へ入る。白い部屋に絵の掛けられていないイーゼルが並んでいる。一瞬「これだけか」と落胆した。よく見ると、イーゼルから糸が垂れている。顔を近づけると、本物のイーゼルじゃなくて紙らしきものが糸で縫い合わされたものだと気づいた。触ると本当に紙なのか確かめられるが、作品なので我慢する。更に観察すると、イーゼルは全部同じ形ではないことがわかった。そしてもっとよく見ていると、これは本当にイーゼルなのか?と思い始めた。イーゼルは絵を掛ける横木が縦の2本の木からはみ出しているはずだが、このイーゼルはそうではないため、これでは絵が掛けられないから。部屋に入った瞬間、「イーゼルだ」と私は思ったが、だんだんそうではないことがわかって来る、という、人間が普段表面的にしか風景を見ていないことを表現しているのではないかと思った。先程もらった紙の解題を見ると、そうとは書かれていなかったが。
以上、「オブジェを通して何を表現しているのか」はよくわからなかったが、空間を作品化した展示は体験的に鑑賞できるのが面白かった。中にあったお店で珈琲と胡麻のパフェを食べて帰った。