5.0
「普通に見せる」ことのすばらしさ
山王美術館は大阪の良心、至宝といっていい。
特徴はない。普通のビルに展示室が3フロアあって、そこに当館母体ホテルの経営者が収集した美術品が並べてあるだけ。
著名建築家設計の凝った造りの建物だったり、展示室に趣向を凝らした仕掛けがあったり、入場法が最新のチケットレスオンリーだったりのいわば現代的美術館では全くない。どことは言わないがそういう「普通に鑑賞できない」美術館が登場してきているのが現状なのだ。
だから逆に、こういうまっとうでシンプルな美術館が21世紀の今、現れることは非常に新鮮であり、そこに来ると心底ホっとし、心穏やかに鑑賞集中できるのだ。
私設美術館の多くは、財閥や企業創立者、実業家のコレクションの陳列という趣旨で設立… Read More