3.0
美術史の流れと風景の変化を楽しめる
千葉県誕生150周年を記念しての展覧会。明治、大正、昭和に描かれた房総半島各地の風景画が、現在の写真とセットで展示されています。(現在の写真は全ての作品について展示されている訳ではありません。)
かつての房総の風景に思いを巡らせ、現在とは全く想像ができない地域も多く、その変化に時代の流れを感じさせます。
フランスから来日したジョルジュ・ビゴーが稲毛に住んでいて、埋め立て前の海に浅間神社の鳥居が建つ夕景を残していることに感銘しました。
浦安の境川に海苔取りのべか舟が多数浮かぶ漁村風景は、東京ディズニーランドが出来る前、東京湾を埋め立てる直前まで健在でした。
香取市の佐原は、利根川で江戸まで続く船運が盛んで賑やかな美しい河港は、戦前は絵になる風景でした。
一方で遠方から眺める山の風景は、今と変わらず、鋸山から館山方面を眺める海岸風景、鹿野山から観た九十九谷の折り重なる山々は現在と同じです。
明治以降の日本の美術史の流れと風景の変化をセットで楽しめる展覧会になっています。ただし千葉に馴染みのある人でないと楽しめません、たぶん。