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日本人に知ってほしい日本人画家
当時の世界情勢に翻弄されながらも自身の信念を貫いた活動をした画家だと初めて知りました。もっと日本人に知ってほしい画家だと思います。
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国吉康雄(くによしやすお 1889‐1953)は明治期の岡山に生まれ、16歳で労働移民としてアメリカ西海岸に渡りますが、夜間高校で美術の才能を見出され、ニューヨークに移住し、働きながら美術学校に通います。
初期にはアメリカ開拓時代を思わせる幻想的な作品で注目されますが、渡仏と生涯一度の帰国、戦争期を経て、その画風は変化し続けます。それは、国吉が生きたアメリカが、アジア系移民排斥運動、パンデミック、大恐慌、二つの世界大戦、赤狩りといった激動の時代であったことと関係します。
国吉は反戦や民主主義へのメッセージを作品に込め、美術家の権利運動の先頭に立ちました。こうした国吉の思想や苦悩が現れた、憂いに満ちた表情の女性や暗喩的な静物、色彩豊かなサーカスの道化などは観る者を魅了し、現在アメリカでは、美術家、社会活動家としての再評価が始まっています。
本展では、油彩・カゼイン画を中心に約170点の国吉作品と、日米の国吉研究と最新資料でその全貌に迫ります。また、坂田一男や小野竹喬など、国吉と同世代の岡山出身の画家の作品も展示し、欧米の美術館で実践される多面的な紹介も試みます。
会期 | 2023年10月24日(火)~2023年12月24日(日) |
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会場 | 茨城県近代美術館 Google Map |
住所 | 茨城県水戸市千波町東久保666-1 |
時間 |
9:30~17:00
(最終入場時間 16:30)
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休館日 |
月曜日 ※ただし茨城県民の日:11月13日(月)は開館 |
観覧料 | 一般 1,000円(870円) 満70歳以上 500円(430円) 高大生 730円(610円) 小中生 370円(240円)
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TEL | 029-243-5111 |
URL | https://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/ |
5.0
当時の世界情勢に翻弄されながらも自身の信念を貫いた活動をした画家だと初めて知りました。もっと日本人に知ってほしい画家だと思います。
4.0
国吉康雄の作品はあちこちの美術館に収蔵されていて、よく見るのだけど、個展でまとまった数の作品見るのは初めてでした。国吉というと、若い頃にアメリカに渡って、苦学の末に成功した日本人画家という大雑把な知識しかなかったのですが、今回の展示で国吉が時代の荒波にもまれ、苦労に苦労を重ね、結局、米国市民権は得られなかったが、作品でその足跡はしっかり残した、ということが伝わってきました。
国吉は1906年に16歳で渡米するのですが、その背景には日露戦争で不況に陥った日本で「政府は外貨獲得のため、海外労働を国民に奨励」していたり、徴兵検査が迫ったりもしていた。渡米後もアジア系移民排斥運動、スペイン風邪、世界恐慌、世界大戦と諸々あるわけで、その辺の時代背景を説明しながら、画業の解説が時系列に進んでいきます。ちなみに、なかでも興味深いのが国吉が27歳で入学した「アート・ステューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨーク」でした。この美術学校はなかなかの学校で、卒業者としてジュージア・オキーフ、マン・レイ、ノーマン・ロックウェル、ベン・シャーン、マーク・ロスコあたりがいる。日本人でも国吉以外に高村光太郎、北川民次などが名を連ねる。
残念なのは、この展示にあわせた、図録が見当たらなかったことかな。
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