3.0
雪佳との穏やかな時間
雪佳をはじめ、琳派の錚々たるメンバーの作品を観ることができました。
雪佳の絵やデザインは、不思議と観る者の心を和ませ、柔らかくする力があると思います。
また、古の京のアーティストたちの作品に、現代アートに通じるデザインがちりばめられていたことに驚きました。
細見美術館は非常にこじんまりとした美術館ですが、何度でも足を運びたくなる場所です。
美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ - 日本全国 312 の美術館・博物館と 545 の開催中&開催予定の展覧会をご紹介中!
江戸時代に花開いた日本美術の精華・琳派。装飾性豊かな作風で今なお多くの人を魅了しています。
近代京都において図案家・画家として活躍した神坂雪佳(1866~1942)は、光悦や光琳ら琳派の活動や作風に共感し、新しい時代にふさわしいデザインを多数生み出しました。その活動は絵画にとどまらず、染織、陶芸、漆芸、室内装飾や庭園に至る実に多彩なものでした。
琳派展22弾となる本展では、宗達や光琳、抱一など江戸時代の琳派を辿りながら、マルチアーティスト・雪佳の図案集、雪佳がデザインした工芸作品や絵画作品を紹介します。琳派のスピリットを受け継いだ雪佳の美の世界をお愉しみください。
会期 |
2022年4月23日(土)~2022年6月19日(日)
|
---|---|
会場 | 細見美術館 Google Map |
住所 | 京都府京都市左京区岡崎最勝寺町6-3 |
時間 | 10:00~17:00 (最終入場時間 16:30) |
休館日 | 月曜日 |
観覧料 | 一般 1,500円 学生 1,200円 |
TEL | 075-752-5555 |
URL | http://www.emuseum.or.jp/index.html |
3.0
雪佳をはじめ、琳派の錚々たるメンバーの作品を観ることができました。
雪佳の絵やデザインは、不思議と観る者の心を和ませ、柔らかくする力があると思います。
また、古の京のアーティストたちの作品に、現代アートに通じるデザインがちりばめられていたことに驚きました。
細見美術館は非常にこじんまりとした美術館ですが、何度でも足を運びたくなる場所です。
5.0
日本画は今まで特に注目してこなかったのですが、優れた、いちデザイナーとして作品を見てみたいと思い、出向きました。油絵科から広告業界に入った身でしたので、雪佳の「しっかりした素描がデザインに結び付く」というような言葉を受け取り、勇気づけられる思いがしました。間の取り方、色味、どれもすばらしいという一言につきます。計算を計算と思わせないところがデザイナーの真骨頂なのだな~と改めて思いました。期間限定で5月の節句のお飾りを拝見でき、すっきりとした佇まいに京都の土地柄を感じました。雪佳の器のデザインを当時の職人が忠実に再現していたのが驚きました。「ダメ出し」がたくさんあったのは想像つきますが…。遊び心のある図案にも触れることができて楽しかったです。細見美術館は初めて訪れましたが、吹き抜けで気持ちの良い木調の空間に癒されます。一つ一つ部屋に入るときの自動ドア(!)が新たな世界に導いてくれるようでワクワクしました。グッズコーナーもとても充実しており、見入って時間を忘れてしまいそうでした。例の忠実な器もなんとレプリカが売られていていました!バッグなど、「SEKKA」のロゴと図案が妙にマッチしていて新旧のコラボが粋だな~と思いました。
良い時間をありがとうございました!!
4.0
京都 平安神宮近くの私立美術館。
小ぢんまりとした建物であるが、京都の町家のモチーフをとり入れたというだけに街並みに溶け込んだ、落ち着きのある風情である。
細見氏三代にわたり、日本古美術品が収集されたとのことだが、西洋美術のような派手さはないものの、何度訪れても逸品揃いで、その収集力、審美眼には感心させられる。
さて、今回は明治から昭和初期にかけて活躍した神坂雪佳の作品展である。「つながる琳派スピリット」と題されており、琳派の影響を受けた芸術家であるのは自明であるが、その枠だけにとらわれず、表現方法が多岐にわたり、マルチな才能に驚かされる。俵屋宗達や尾形光琳のように金屏風を背景に花鳥画を描く、きらびやかな作品もあれば、掛軸に墨絵のような素朴な線で仔犬を描き、侘び寂びを感じさせる作品もある。また、海外ての評価も高く、尾形光琳の作品をオマージュしたような菖蒲を描いた「八つ橋」は、エルメス社が発行する季刊誌の表紙を飾ったらしい。
このように絵師として申し分なく優れているのは言うまでもないが、個人的には工芸作品のデザイナーとしての顔に興味をひかれた。陶芸や漆芸に図案が提供され、作品化されたものが多数されていたが、ユニークかつ斬新なデザインだった。また、自然をモチーフにした連続した文様の図案集が素晴らしかった。友禅染や西陣織にも使われるために考案されたであろう水の流れや波の図案は特に目を引いた。日本らしい伝統的な文様であるが、今見てもセンスが光る。ウィリアム・モリスのテキスタイルデザインが未だにファッションやインテリアに取り入れられるように、神坂雪佳の図案が現代を生きる我々の日常に彩られても古さは感じないだろうと思った。
京都で伊藤若冲の華やかな作品を鑑賞するのも好きだが、同じく京都出身で現代の日本美術にも息づく神坂雪佳の作品に触れられたのは贅沢な時間だった。
あなたも感想・評価を投稿してみませんか?
感想・評価を投稿する
より詳しい鑑賞レポート 《600文字以上》のご投稿は、
こちらから。ページ枠でご紹介となります。
鑑賞レポート《600文字以上》を投稿する
周辺で開催中の展覧会も探してみて下さい。
京都府で開催中の展覧会