5.0
圧倒的な質と量
タイガー立石さんは絵本で知ったのですが、今回の展覧会で全貌を知ることができ光栄というしかない。生まれ育ったのが筑豊田川、ボタ山や炭鉱トロッコ華やかな頃の田川の街並みなどがグッと立ち上がって富士山や旭日や戦闘機や虎につながる。
埼玉県立美術館と二館同時開催とのことで、うらわ、県立の順に見ましたが、先に見たうらわの方が個人的にはタイガー立石を圧倒的な物量、質量で表し完全にタイガーワールドを展開していた感あり。
一貫した趣向性のもと、その時々にやりたいことジャンル表現形態を持ち、変え、自信と確信と思考と試行で成し遂げていく様が感じられたし、先見の明というか、今かなら2022年の年頭に、米軍機に牙を剥き自在に飛び回り威嚇する紅い虎の姿は、当時の状況を見るにしてもなかなか達見とあとから思えるものであり、まさに今、現在現代にも通用する風刺であり鋭い眼差しであろう。毛沢東を習近平にモチーフ変えて、ご存命なら2020年版を製作していただきたかった。
政治的なメッセージ当時の前衛と切り離せない部分も面白いが、イタリアの食器会社などさまざまな企業とのデザイン製作も興味をそそり、イケメンなタイガー立石の生き様をたっぷり見せつけられてこの苦難の時代に清涼で濃厚な力をもらった。