3.0
作者の意図と作品の糸が見えない展覧会
コロナ禍のなか、電車に乗って都心の美術館に行くのはためらわれますが、府中市美術館ならいつも観客が少ないし、入館者は府中市臨時駐車場が無料になるので、府中に実家がある妻と車で出かけました。
2019年に森美術館「塩田千春展:魂がふるえる」で観た糸によるインスタレーションがとても素晴らしかったので、この展覧会も楽しみにしていたのですが、やや期待外れでした。
森美術館と異なり大きなスペースが取れないことはわかっていましたが、展示されていた絹糸によるインスタレーションは3点のみで、そのうちの2点は部屋が暗くて作品がほとんど見えません。暗闇の中で目を凝らすと、糸らしきものが張り巡らされているのがかすかにわかりますが、作品の全体像がつかめません。
ただでさえ見えにくい細い絹糸を暗闇のなかに置いた作者の意図がわかりません。他のコメントではかなり好意的な書き込みが見られますが、私にとっては塩田千春展との落差に驚ろき不満の残る展覧会でした。