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一村へとつづく道
南国への思いからか日本のゴーギャンと呼ばれ、絵の構図からか日本のアンリ・ルソーとも評される田中一村。
今年の初めに、千葉市美での収蔵全作品展が話題になりましたが、まだまだ一般的にはあまり知られていない画家だと思います。
私が知ったのは2018年に放送された『美の巨人たち』。以来、一度は観たいと思っていましたが、千葉には行けず。この美術展を待ち望んでおりました。
幼少期の作品から絶筆といわれる作品までおおよそ時系列に並んでおり、父からもらった雅号南画、日本画、そして「南の琳派」へと変遷していく様がよくわかりました。
それは7歳の時、彫刻家の父・田中稲村から与えられた「米邨」の号から、「一村」へと変わり、画風を模索し、確立し、旅立っていった画伯のクロニクルを観ているようでした。
そのため、画風は実に様々。しかし、ところどころに「一村」スタイルが見え隠れしていて、彼を知るにはとても良い企画展でした。
もっと彼の事を知りたくて、図録を楽しみにしていたのですが、さすがに売っていなかったのが残念ですが、画集や一村伝など読んでみようと思います。