5.0
新たな鑑賞体験の場としての美術館
寺田小太郎という個人コレクターが収集してきた作品を展示するオペラシティのコレクション展…だが、本展は様相が少し違う。
当初、企画展として来日する予定だったライアン・ガンダーがキュレーションを行い、新たな鑑賞体験の場を設けたことだ。展示の仕方を変えると、見方が新しくなることを気づかされる展覧会だった。
美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ - 日本全国 309 の美術館・博物館と 617 の開催中&開催予定の展覧会をご紹介中!
ガンダーの作品制作の特徴のひとつに、日常生活で気に留めることすら忘れていたあたりまえの物事に光を当て、あらたな視点で観察したうえで解釈し、表現する点が挙げられます。私たちの周りを鋭く分析しつつ、ユーモアをまじえて制作されるガンダーの作品はコンセプチュアル・アートの最先端をいくもので、見る人の思考や創造力を刺激します。
その視点・考察・解釈が東京オペラシティ アートギャラリーの収蔵品に向けられたら……。東京オペラシティ アートギャラリーの収蔵品は故寺田小太郎氏によるプライベート・アイ・コレクションであり、これはライアン・ガンダー×寺田小太郎の一対一の会話といえる展覧会でもあります。
どんなに困難な状況でも冷静に考え、発想の転換でよりよいものにしてしまおうとするガンダーの姿勢と能力は、彼の個展の準備段階でも何度となく目にする機会がありました。そして、これが彼の制作に通底しているからこそ彼の作品が魅力的なのだと、今あらためて思われます。
ライアン・ガンダー自身の個展は、世界がもう少し穏やかになった頃の実現を目指し、今回は、東京オペラシティ アートギャラリーの収蔵品をガンダーがどのように見て、展覧会という形で表現するのか、3階/4階それぞれを使った二つの企画として行います。
会期 |
2021年4月17日(土)~2021年6月24日(木)
|
---|---|
会場 | 東京オペラシティ アートギャラリー Google Map |
住所 | 東京都新宿区西新宿3-20-2 |
時間 |
11:00~19:00
(最終入場時間 18:30)
|
休館日 |
月曜日 ※ただし5月3日は開館 |
観覧料 | 一般 1,000円(800円) 大・高生 600円(400円) 中学生以下 無料
|
TEL | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
URL | https://www.operacity.jp/ag/ |
5.0
寺田小太郎という個人コレクターが収集してきた作品を展示するオペラシティのコレクション展…だが、本展は様相が少し違う。
当初、企画展として来日する予定だったライアン・ガンダーがキュレーションを行い、新たな鑑賞体験の場を設けたことだ。展示の仕方を変えると、見方が新しくなることを気づかされる展覧会だった。
4.0
「色を想像する」Colours of the imagination(4階)
当初予定されていたライアン・ガンダーの個展が延期。急遽、ライアン・ガンダーキュレーションの所蔵品展に。
コレクションからモノクロ作品を選び、びっしり並べるサロン・スタイル。タブロー・版画・写真…技法にこだわらず、並べられた作品群は、上下左右の作品と共鳴しながらいつもと違う様相を見せる。対面の壁には、作品サイズの枠と作品キャプション。普段の鑑賞方法を考えさせられた。
李禹煥、白髪一雄はこんな状態でも強烈。
「ストーリーはいつも不完全……」All our stories are incomplete...(3階)
薄暗がりの館内を手持ちのライトで、自ら作品を照らしながら鑑賞をしていく。明るく、そしてライティング調整された普段とまったく鑑賞姿勢が変わる。照らす行為が、作品と向き合う手順となる。マチエールも細部も照らし方ひとつで変わってくる。作品と関わる新鮮さに驚いた。
正直、目玉商品は無い。でも全体をひとつの作品と考えると、希有な体験の作品だった。
余談:平日と言えガラガラ。なんで先日まで休館を強いられたのか、まったく理解できない。
あなたも感想・評価を投稿してみませんか?
感想・評価を投稿する
より詳しい鑑賞レポート 《600文字以上》のご投稿は、
こちらから。ページ枠でご紹介となります。
鑑賞レポート《600文字以上》を投稿する
周辺で開催中の展覧会も探してみて下さい。
東京都新宿区で開催中の展覧会