3.0
食わず嫌い
画家として著名でありながら、これまで敬遠してきた清輝でしたが、初めて作品を通して観ると好感が持てました。
日本人として、自らの作風もしくは己自身を模索していたのだと感じました。
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師コランやミレーなど、黒田がフランスで出会い導かれた作品をあわせて展示しながら、留学時代の「読書」「婦人像(厨房)」や帰国後の「舞妓」「智・感・情」などの代表作によって、黒田清輝の画業全体を振り返ろうとするものです。
◆ 第1章 フランスで画家になる─画学修行の時代 [1884~1893]
フランスに渡った黒田は画家を志し、天賦の才を発揮して官製展覧会であるサロンに入選するに至ります。黒田はラファエル・コランにアカデミックな絵画教育を受けただけでなく、ピュヴィス・ド・シャヴァンヌやバスティアン=ルパージュ、ジャン=フランソワ・ミレーなどのフランス近代絵画の主題やそこに表された思想に強い関心を抱きました。画家として歩みはじめ、フランス画壇にデビューする渡欧期の作品は、ヨーロッパの明るい光にあふれています。
◆ 第2章 日本洋画の模索─白馬会の時代 [1893~1907]
1893年夏に帰国した黒田は、日本洋画のあるべき姿を模索します。日本の人々に受け入れられ、かつ国際的にも高く評価される油彩画を生み出そうと努めた黒田の作品は、日本の洋画壇に清風を吹き込むことになりました。帰国直後の「舞妓」(1893年)や大作「昔語り」(1898年、焼失)、「湖畔」(1897年)、「智・感・情」(1899年)などは、日本の主題やモティーフによって、世界に認められるような日本の洋画を目指して描かれました。
◆ 第3章 日本洋画のアカデミズム形成─文展・帝展の時代 [1907~1924]
日本にアカデミズムを打ち立てるべく奮闘し、美術教育や美術行政で社会的役割を担った黒田は、多忙を極めました。そのなかで黒田は新しい表現に共感していきます。文展や帝展といった官製展覧会に出品する公開を前提とした作品では、フランス画壇を手本にしてアカデミズム形成を意図して制作しました。
同時に黒田は、ポスト印象主義や表現主義のような新しい美術表現の潮流を意識した公開を前提としない小品も描いて、揺れ動く画家の内面が表れています。
会期 | 2016年3月23日(水)~2016年5月15日(日) |
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会場 | 東京国立博物館 Google Map |
展示室 | 東京国立博物館 平成館 |
住所 | 東京都台東区上野公園13-9 |
時間 |
9:30~17:00
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休館日 |
月曜日 ※ただし、3月28日(月)、4月4日(月)、5月2日(月)は開館 |
観覧料 | 一般 1,600円(1400円/1300円) 大学生 1,200円(1000円/900円) 高校生 900円(700円/600円) 中学生以下無料
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TEL | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
URL | http://www.seiki150.jp/ |
3.0
画家として著名でありながら、これまで敬遠してきた清輝でしたが、初めて作品を通して観ると好感が持てました。
日本人として、自らの作風もしくは己自身を模索していたのだと感じました。
4.0
実はミレーの「羊飼いの少女」が目当てでいったのですが、どうしてどうして、黒田作品はすばらしかったです。印象派の影響を受けていたらしい作品は、やさしく光に満ちていました。
有名な作品ではないようですが、「赤髪の少女」がよかったです。
また、意外だったのは花の絵がとてもきれいだったこと。自然を描くのがとても好きだった画家なのかもしれないなあと感じました。
3.0
何よりもまず「混んでいた」のひと言(;´Д`)
今の日本の西洋画の礎を作った功労に敬意を払いつつ、黒田清輝という作家をフィーチャーした回顧展は一度観ればいいかな...と感じた俺でした(笑)
というのは、画風がマチマチに見えるのです、俺には。別人が描いているのかと思うくらい。「おお~!これぞ黒田作品!」のように思える作品が正直思い浮かばないのです。
もちろん単品としては重文の「湖畔」や、あるいは「舞妓」だったり、「鉄砲百合」だったり、素晴らしい作品も多々あるのですが、何となくどれも「違う」感を感じるのです。ニュアンスが難しいのですが...。
でも、一方で、帰国後に政治的に尽力し美術学校の設立、西洋画の教授を務めた彼の役割を考えれば、それもそのはずなのかも知れないと思い当たりました。
後進の指導をする上で、様々な画風の作品を描いて見せる必要があったのではないでしょうか?
黒田自身はヨーロッパで直接触れることが出来た様々な絵画の「派」の特徴や表現技法を実際に作品としてお手本を見せる必要があったのだと思うのです。きっと。
だとすると、作品によって、たとえば「"湖畔"は光量が多くてやけに白っちゃけてるなぁ」「あれ、この作品は輪郭線を描いてるぞ」とか「何だろう、やけに恣意的なポーズの裸婦だなぁ」とか、様々に感じる作品達にも、それぞれの派のお手本としてはとても優れた作品のように見えてくるのです(笑)
ちなみに、最後に展示されていた大作「智・感・情」はあからさまに何かしらの意図を表現しているような作品で、他の作品とは一線を画するものに感じましたね。うん。
http://www.salvastyle.com/menu_japanese/kuroda_wis.html
4.0
奇を衒わず、巨匠の生涯をその折々の作品で辿るという、博物館ならではの真っ向勝負の展覧会。日本の「西洋化」に粉骨砕身した明治・大正の偉人を学んだ、という印象が強く残りました。
薩摩藩士出身で後に華族となり、帝国美術院院長、貴族院議員などを歴任。日本洋画壇の確立のため、その出自も最大限に活かしながら獅子奮迅の活躍をした〝奮闘努力の人“。
その一方、森鴎外と同じく留学先のヨーロッパにフランス女性の恋人を残してきたり、時と場に応じて様々な画風で描き分けたり、といった人間くさいところも垣間見られて興味深かったです。
余談ですが、ミレーの「羊飼いの少女」、コランの「フロレアル」などが参考出品されていたことにビックリ。てっきり黒田作品の展示だけかと端から思い込んでいたもので・・・。大好きなそれらの作品に思いがけず出逢えたことだけでも、個人的にはお釣りがくるくらい満足のいく展覧会でした。
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