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なかなか出会えない、相原芸術の神髄を、この機会に堪能しましょう。
川越生まれで川越市名誉市民であり、北海道の自然を描き続けた洋画家・相原求一朗の大回顧展です。2018年は生誕100年、2019年は歿後20年記念すべき年なので。
2007年、日本橋某百貨店で「相原求一朗展」を見て、特に「北の十名山」シリーズは本当に感動ものでしたから、ずっと再会を思っていましたが、本当にたまーに一枚二枚、どこかの展覧会に出ているものに会えるくらいでした。北海道の中札内美術村に相原求一朗美術館があり、そこまで行かなければなかなか見ることが出来ないと、ずっと思っていました。ただ、川越市立美術館には常設の「相原求一朗記念室」があるのは一応知っていました。よくある地元出身者の作品を小さな一室にいくらか展示紹介する、そんなものかと勝手に思い、これまでも何度か特別展が開かれていたらしいのに、2,010年にも「北の十名山」は勢ぞろいしていたとかなのに、川越はなかなか立地の問題で目が向かない地域でしたから、完全に見落として来ました。
今展は、 初期から絶筆までの代表作約100点に、小品やデッサンを加えながら、相原の画業を回顧しています。第1部は初期から1970年代までの作品と「北の十名山」、第2部は1980年代から晩年までの作品が紹介しています。完全入れ替えのため、両方見たいところでしたが、残念なことに第2部でやっと行くことが出来ました。北の大地の作品は素晴らしいものがいくつもありました。でも「北の十名山」には会えませんでした。またいつかどこかで、と思います。相原の作品は「風景画」という枠を超えた一種の心象風景のようです。見る者の胸の中にも、深く何かが入り込んでくるようです。
お近くの方はもちろんですが、遠くの方も、暖かくなってきましたから、小江戸川越春散歩もかねて、ぜひ相原の心象風景を尋ねてみて下さい。