3.0
「発見」の歓び
実は、予備知識ゼロのまま会期最終日、美術館に滑り込んで観た同展。さまざまな意味で矛盾やひずみ、対立などがそこかしこで噴出する現代において、美術の道を選んだ作家たちの各々の「個性」が殊の外まぶしく、すがすがしい歓びに包まれました。5人中とくに気に入ったのが森美樹さんの作品。生きとし生けるものへの想いが静かに心に沁みてきました。一方、戸田麻子さんの洋画は、女の「性」を強烈に感じさせ、森さんの作品とは全く異なりますが、強烈に印象に刻まれました。
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「都美セレクション 新鋭美術家」展は、東京都美術館が毎年春に開催する「公募団体ベストセレクション美術」展に出品した作家の中から、今後活躍が期待される50歳以下の若手を選抜し、新鋭美術家として個展形式で紹介する展覧会です。
日本では、明治に源流をたどる院展、日展を始め、多くの公募団体による展覧会が日々開催されています。作家自身が団体を組織、運営し、広く美術作品を一般に公募することによって開催する展覧会の存在は、美術作家を世に出す場として長く日本美術界をけん引してきました。
本展は、これらの公募団体を揺り籠として育まれた新鋭作家を紹介します。今回は第4回目として、花澤洋太(独立美術協会洋画)、森美樹(日展日本画)、西村大喜(国画会彫刻)、武田司(日展工芸)、戸田麻子(二紀会洋画)の5人の作家をとりあげます。日本画、洋画、彫刻、工芸とバラエティに富む新鋭美術家の作品からは、確かな技術に裏付けられたみずみずしい感性と、勢いを感じていただけることと思います。
出品作家 [50 音順、敬称略]
武田 司(たけだ つかさ)(【工芸】1970年 東京都新宿区生まれ、日展会友)
戸田 麻子(とだ あさこ)(【洋画】1990年 長崎県生まれ、二紀会準会員)
西村 大喜(にしむら だいき)(【彫刻】1986年 兵庫県宝塚市生まれ、国画会会員)
花澤 洋太(はなざわ ようた)(【洋画】1967年 東京都中野区生まれ、独立美術協会会員)
森 美樹 (もり みき)(【日本画】1968年 徳島県徳島市生まれ、日展準会員)
審査委員 [敬称略]
大谷省吾 (東京国立近代美術館企画課企画展室長・主任研究員)
草薙奈津子(平塚市美術館館長)
建畠晢 (多摩美術大学学長)
南嶌宏 (女子美術大学教授)
真室佳武 (東京都美術館館長)
会期 | 2016年2月19日(金)~2016年3月15日(火) |
---|---|
会場 | 東京都美術館 Google Map |
展示室 | 東京都美術館 ギャラリーC |
住所 | 東京都台東区上野公園8-36 |
時間 |
9:30~17:30
(最終入場時間 17:00)
|
休館日 | ※3月7日(月)休館 |
観覧料 | <当日券> 一般 500円 65歳以上 300円 <団体券> 300円
|
TEL | 03-3823-6921 |
URL | http://www.tobikan.jp/exhibition/h27_newwave.html |
3.0
実は、予備知識ゼロのまま会期最終日、美術館に滑り込んで観た同展。さまざまな意味で矛盾やひずみ、対立などがそこかしこで噴出する現代において、美術の道を選んだ作家たちの各々の「個性」が殊の外まぶしく、すがすがしい歓びに包まれました。5人中とくに気に入ったのが森美樹さんの作品。生きとし生けるものへの想いが静かに心に沁みてきました。一方、戸田麻子さんの洋画は、女の「性」を強烈に感じさせ、森さんの作品とは全く異なりますが、強烈に印象に刻まれました。
4.0
「公募団体ベストセレクション 美術 2015」展の出品作家の中から、これからの活躍が期待される新鋭作家の作品を紹介する展覧会とのことで,今回は5人の作品が公開されていました。
このうち、洋画家の花澤洋太氏と彫刻家の西村大喜氏の作品は前衛すぎて私には理解できないので、評価を控えさせていただきます。
残る3名の作品はどれも素晴らしいのですが、特に工芸家の武田司氏の作品が群を抜いています。最初は絵画と思っていましたが、題の横「錆漆レリーフ、螺鈿、蒔絵」と書いてありました。いわゆる工芸品に分類されるのですね。つたない言語力では、作品はどれも美しく幻想的としか表現できません。是非会場で実物を見て下さい。
日本画の森美樹氏の作品では、眉毛のない無表情の女性が枯れ野にたたずむ不気味(?)な3枚の絵が印象的でした。
戸田麻子氏の洋画は美しくも残酷な作品で、松井冬子氏の作品になんとなく似ています。
東京都美術館で他の展覧会のついでに見たのですが、期待以上の面白さでした。一件の価値があります。
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