4.0
軽い「わらい」と「こわい」から、日本の成立までがわかります。
まず、展覧会のタイトルを見たときには、「わらい」と「こわい」がどう関係があるのか、さらに「18歳未満入館不可」ということは具体的にどんな展示物があるのかが、想像できませんでした。(春画に「わらい」や「こわい」ものって、あったっけ?)
でも、この美術館特有の詳しい解説を読みながら展示物を見ていくと、特に今回は章立てがよかったこともあって、「なるほど」と思うことの連続でした。
ただ、ある程度の戯画的な知識がないと、知らないことと小難しい理屈の連続で最後まで気力が持たない内容でもあったと思います。
最低限、『百鬼夜行図』ぐらいは元がどんな作品だったかを知らないと、それをパロディー化した作品がいくつかあるので、楽しめないかもしれません。
また、ストーリー自体が軽いホラー(?)である「道成寺縁起」もただのグロテスクな絵画で終わってしまう可能性もあります。
「18歳以下入館不可」なのは春画がいくつかあるからで、男女の絡みについても‘いやらしい’角度からではなく、あくまで主に江戸時代の日本絵画を理解するための一部として展示されているので、必要な要素でした。
展示物全てに詳細な解説があるので、丁寧に見て行くと思いのほか時間がかかりますが、順を追って理解して見て行くと、最後に「日本がいかにして出来たか」に大きく納得して展示を見終えることができました。
「わらい(=可笑しい)」と「こわい」の関係、「日本の成り立ち」について、科学に捉われずに見ていると楽しめる展示だと思います。