4.0
多彩な才能に感嘆
月岡芳年の名前は知らなかったが、逆さづりにされた妊婦のそばで包丁を研ぐ鬼婆を描いた絵は強烈に印象に残っていた。「血まみれ芳年」の二つ名があるとは後に知った。今回の展覧会も彼の無惨絵を見に行ったのだが、彼の画業はもっと幅広いことがわかり、その巧みさ、ダイナミックさに驚いた。
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月岡芳年(つきおかよしとし 天保10年~明治25年・1839~92)は江戸に生まれ、12歳で武者絵の名手、歌川国芳に入門。幕末は武者絵を中心に、美人画、戯画など師の風に倣った作品を発表してきましたが、明治維新のきな臭い時代背景を通して、武者絵からリアルな戦闘画へと変化を見せます。
この頃の作品をして“血みどろ絵”、“無惨絵”の芳年としたイメージが後世まで強く持たれてきました。一時期、神経を病んでいたこともこうした印象に拍車をかけていたのかもしれません。
しかし、それは一時のことで、“大蘇”と名乗り出してからは、新聞挿絵や西南戦争に取材した作品、歴史画・風俗画などで、人気浮世絵師への階段を一気に駆け上ります。晩年の10年間に描いた錦絵は芳年画を印象付ける名作・代表作揃いで、最期まで武者絵や物語絵の可能性にこだわり続けた、まさに“最後の浮世絵師”と呼ぶにふさわしい画業を展開しました。
そうした幕末・明治の浮世絵の泰斗と呼ぶにふさわしい芳年ですが、その画業を回顧する展覧会は意外と少なく、未だ、しっかりとした位置づけが行われていないと言って過言ではありません。
この展覧会は芳年のコレクションとしては質量ともに世界屈指といえる、西井正氣(にしいまさき)氏の収蔵品の中から選りすぐりの263点で、芳年の画業の全貌を紹介するもので、15年ぶり、まさに待望の公開となるものです。
会期 |
2018年8月5日(日)~2018年9月24日(月・振)
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会場 |
練馬区立美術館
![]() |
住所 | 東京都練馬区貫井1-36-16 |
時間 | 10:00~18:00 (最終入場時間 17:30) |
休館日 |
月曜日 9月18日(火)は休館 ※9月17日(月・祝)は開館 |
観覧料 | 一般 1,000円 高・大生・65~74歳 800円 中学生以下・75歳以上 無料 (その他各種割引制度あり)
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TEL | 03-3577-1821 |
URL | https://www.neribun.or.jp/museum.html |
4.0
月岡芳年の名前は知らなかったが、逆さづりにされた妊婦のそばで包丁を研ぐ鬼婆を描いた絵は強烈に印象に残っていた。「血まみれ芳年」の二つ名があるとは後に知った。今回の展覧会も彼の無惨絵を見に行ったのだが、彼の画業はもっと幅広いことがわかり、その巧みさ、ダイナミックさに驚いた。
5.0
先日、練馬の中村橋に降りたち芳年-激動の時代を生きた鬼才浮世絵師展を見ました。質、量ともに素晴らしい展覧会でした。
5.0
10代にして師匠に弟子入りし、
同じ年代の若者が命を落とす様子を
その目でつぶさに見ることになる芳年。
自然界の草木、花を、これほど見事に描ける力がありながら、
錦絵には血なまぐさく、凄惨なイメージを抱かれてしまった彼。
展示会ではプライベートには触れられず、すこし、切ない画家との印象を抱きました。
雪の描き方が、美しかったです。
5.0
とにかく、点数がたくさん、ですが、こちらの美術館はみやすいのとキャプションもわかりやすいので、よかったです。
ここまで、芳年だけにフューチャーした展覧会は太田美術館以来??でしょうか。
併せて新宿区歴史博物館と、浮世絵太田美術館の芳幾(芳年作品も多数あり)で、3館ともに見て回るととても楽しめます。
リアルな描写で怖い絵、というイメージの多い芳年ですが、それも技術のナセル技なのだと思います。
数点、後摺りも並べて展示しているので、比べるのも浮世絵の楽しみ方かも!!
下絵やデッサンもあり、後期も期待大!!です。
5.0
芳年、最高にカッコイイ!
国芳のセンス、カッコ良さを最も濃く受け継いだのはやはり芳年でした。
躍動感溢れる素晴らしい絵の数々です。
最近膨大な展示数で観客を圧倒する展覧会に惹かれます。
もちろん、質より量、ではありません。
ちょっと数多いかなぁ、でもみんなカッコイイからなぁ、よし全部展示しちゃおう!
という、絞るのではなく、良いのだから全部展示スタイル、歓迎します。
英名二十八衆句は落合芳幾と併せて全品展示です。
月岡芳年展の決定版です是非。
5.0
極上の初摺りにこだわり、海外から買い戻した作品も含め、世界屈指の西井正氣コレクションから代表作含め263点展示、芳年の画業を概観できる大規模回顧展です。特に魁題百撰相、一魁随筆シリーズは最近、摺り上がったかのような状態です。肉筆、下図、画稿も展示中です。図録は永久保存版ですね。
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