4.0
わからない絵に慣れた目を洗いなおす格好の機会
リニューアルのため休館中の福岡市美術館の所蔵品から、モダンアートを集めた展覧会です。
モダンアートは「わからない絵」なのかもしれません。したがって、この展覧会はわからない絵だらけの、わからない絵の歴史です。
ダリのシュールレアリスムは何が言いたいのかわからない。ミロもシャガールもよくわからない。戦後日本芸術の「九州派」や「具体美術協会」の前衛は、どうしてこんな描き方をするのかわかりませんし、そもそもこれが「絵」なのかわからない。比較的あたらしい作品でも草間弥生の作品だって、わかるか?と言われてみればわからないの類です。
わからないなりに慣れてきて、今ではこれは芸術なのだと、そういうものだと得心しているといったほうがいいのでしょう。
もちろん、それぞれの時代のそれぞれの作品には、表現上の必然や、新しい表現への模索があったことでしょう。この展覧会では、そこがよく見て取れます。つまり、この展覧会はモダンアートの教科書です。これがアートだよね、となんとなく得心してしまっている自分の目を点検復習することができます。
どうしてこういう芸術があるのか、なぜこういう表現が出てきたのか。慣れてしまった芸術に対する目を今一度洗い直すのに格好の企画でした。