4.0
楽しかったボタニカル・アート展
ボタニカル・アートの展覧会では、Bunkamuraザ・ミュージアムで見た2011年の「花の画家 ルドゥーテ『美花選』展」と2014年の「キャプテン・クック探検航海と『バンクス花譜集』展を思い出します。はっきり言えば共にやや退屈な展覧会でした。『美花選』も『バンクス花譜集』も写実的な細密スケッチで、一枚一枚はとても美しいのですが、同じ画風のスケッチが何百枚もずらっと展示されていると、最初は感動して見ていても変化の無さに飽き、後半はざっと眺めて早々と退場しました。
そういうわけで今回もあまり期待しないで出かけたのですが、良い意味で期待が裏切られました。汐留ミュージアムの利点(?)は会場が狭く、同じ画家の絵を何百枚も並べるスペースがないことにあります。このため、今回の展示では作風の異なる多数の画家の作品が数点ずつ展示されています。写実的なスケッチのみならず、デフォルメした抽象画風な作品もあります。匿名インド人アーチストが描いたヒマワリはまるでゴッホのようです(ややおおげさですが)。植物のスケッチのみならず、植物模様のタイルや調度品など多様な作品が並べられており、あのウィリアム・モリスのテキスタイルまで飾られています。このように工夫された展示とやや狭い展示スペースの相乗効果で、最後まで飽きずに楽しく閲覧できました。また常設のルオーギャラリーも今回は花に関する作品が展示されており、これも楽しめました。