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十数センチのフィギュアから高さ7mの壁画まで、現代美術だけど、心温まる親子の物語
チェン・フェイ(陳飛 CHEN Fei)さんは1983年生まれの中国の現代美術家。作品を見たことがない作家ですが、アーティストの加藤泉さんが推薦していたので、興味がわいてワタリウム美術館へ。
展示のテーマは、タイトル通り「父と子」です。父と子を中心に、家族、親友を描いた絵画15点と巨大な壁画1点、父と子のフィギュアを含めたインスタレーションなどで構成されています。
「子」については髪が短い赤ん坊のころから始まって、徐々に髪が伸びて女の子であることが分かるまでが描かれている。その横にはだいたい上半身裸の「父」がいる。子は可愛く、父はユーモラスに表現されているのが、いい感じです。ただし、単純にほのぼのした作品ではないところも興味深い。赤ん坊を抱いた高さ約7mの父と子の巨大な壁画では父の刺青が気になるし、父母子の3人でウインクしている絵では子どもが持っているおもちゃがかなり不気味なモノだったりする。そして、ピンクの背景に草花をパターン的に描いた作品には、花の数と同じくらい排泄物が描かれていて、ぎょっとさせられる。まあ、排泄物が描かれている理由は、作品の解説を読んで、まあそれも愛だろうと多少は納得するんですが…。
ちなみに、「父と子」はドイツの漫画家E.O.プラウエンの作品『Vater und Sohn(父と子)』を参照している、としてます。その辺も気になる。
『Vater und Sohn(父と子)』は岩波少年文庫で「おとうさんとぼく」として翻訳されていて、今でも入手可能です。ほのぼのとした作品で、するりと読めました。ただし、巻末にあるドイツ文学者の上田真而子さんによる解説「e.o.プラウエンについて」を読むと、ぞっとする事実を知ることになる。プラウエンが生きた時代はナチスがドイツを支配していたころで、プラウエンはVater und Sohnで成功を収めたものの、最後はゲシュタポに逮捕され、自殺しているそうだ。その辺はどのように関係するのだろうかと、とても気になる。
撮影OK。展示替えなし。図録あり。





