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デザインはここにも
西宮市大谷記念美術館は、小規模ながらこうした良質な企画で展覧会を開催してくれるのが心憎い。野球はおろかスポーツへの関心が皆無の私にとっては、野球史という基本的な情報や阪神間の沿線開発や娯楽文化の歴史を概観しつつ、それらを潜在的なところで支えたさまざまなデザインの仕事を知ることができ興味深かった。ここは野球ファンのみならず学びがあるし、世代によっては懐かしい思い出を辿りながら鑑賞することもできる。
本展にみるデザインは、野球チームへのファンの同化や試合の熱狂への期待を高めるための側面が大きい。当然のことながら、デザインされたモノはそうした体験価値の背後に退いてしまうだろう。しかしだからこそ、そうしたものの重要性と創造力に焦点を当てた「野球とデザイン」という視点に新鮮さを感じた。本展に阪神タイガースのユニフォームシャツを着た来館者がいたことを思えば、こうしたデザインの機能が長らく媒介となってきたことの意味は今なお大きい。ずらりと並べられた個人蔵の観戦チケットの展示にも、そうしたファンと野球との熱っぽい関係性をひしひしと感じた。





