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地形から観た北斎「富嶽三十六景」
前回北斎の「奇想のカラクリ」をとことん楽しませてくださった「葛飾北斎冨嶽三十六景」の全図展示から、8年ぶりの全図展示となります。今展では、貴重な校合摺や後摺、さらには『北斎漫画』をはじめとする北斎の初期作、歌川広重・国芳らの関連作品も紹介され、北斎芸術の奥行きを堪能できる内容となっていました。会場冒頭では、荒れ狂う波と静謐な富士の対比が印象的な《神奈川沖浪裏》、目を惹く色彩の朝焼けに染まる《凱風快晴》、対して稲妻を背にした「黒富士」の《山下白雨》といった北斎ならではの視点と構図の妙が込められた「三役」とも言える誰もが知る名画が並びます。その後の作品のラインナップだけ見てもなかなか貴重な機会ではあるのはもちろんなのですが、昨今、浮世絵ブームで、浮世絵関連の展覧会が非常に多く、体感型展示も幾つも催されているという中で、浮世絵専門の美術館として評価の高いこちらの美術館さんは、流石、更に楽しい企画をやってくださいました。「地形から読み解く冨嶽三十六景」でした。作品の横には(もちろんすべてではありませんが) 実際の地形図と大分様変わりしてしまった現在のその近辺の写真が展示されていて、共に現地に立ち作者の視点を想像しながら、描かれた場所を探りながら、地形図とあわせて作品を楽しむことが出来ます。特に浮世絵名所の多くは、川や海などの「水辺」と「崖地・台地」などの「高低差」が描かれています。名所旧跡がそもそもそのような場所にあり、信仰の対象の神社仏閣などはもともと山の上や高台にあるわけなのですが(登り切った達成感とそこで見る絶景がより御利益を強く感じさせてくれるかも‥)。会場はとても混雑しています。もしも時間があるのならば、鑑賞前に下階の視聴覚室で流れている学芸員さんのスライドトークVTR(約30分)を先に観てから、展示室に行かれることをお勧めしたいです。もしもお時間がないという方は事前にご自宅で、太田記念美術館さんYouTubeでも見ることが出来ます。会期末まじかだったため、平日午前ながらとても混雑していて、一列下がった場所から単眼鏡で覗き込むことも多くありました。ロッカーもほぼいっぱいでした。夏休みのため子供さんも沢山いらしていました。何時もより外国の方は少なかったと思います。今回の配布された資料を基に、涼しくなったら私も、ブラタモリよろしく、近場だけでも幾つかめぐってみたくなりました。









