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100年前の「記録」が伝える染織の美と職人たちの超絶技巧
一応布好き着物好きの私ですが、『綾錦』なるモノを今回初めて知りました。「近代西陣が認めた染織の美」というタイトルには魅かれるものの、いくら優れた作品意匠でも、図案集や見本帳の様なものばかりを見せられるのでは? などとも思ってしまっていました。それでも、今回また嬉しい恒例「秋の三館」チケット半券優待のおかげで、冬季展を何れか1つ見られてしまうということなので、毎度なのですが会員券がちょっとお高くて持っていない根津美術館さんの冬季展『綾錦』に出かけさせて頂くことにしました。
連日の寒さのせいか平日朝一の並びも極僅かでした。館内も全体的に空いていてゆっくり見ることが出来ました。展覧会入り口にあった説明によれば、この『綾錦』にも掲載された品を、根津嘉一郎氏が蒐集。その所蔵品のうち、現在確認できる20品を展示するのが本展覧会である、とのこと。最初の展示作品は「『綾錦』」(西陣織物館編/全11冊のうち/大正5年~14年)。大判の分厚い本が表紙を表に3冊並べられていて、この表紙、織物で出来ています。染・織・刺繍と美しく、それ自体既に美術品感が高いです。そしてまた、入場すればすぐに目に飛び込んで来た、美しい小袖や能装束などのズラリ並ぶ様に、またチラシポスターにもなっている今回のメインビジュアル《縫箔 紅浅葱段枝垂桜尾長鳥模様》も見え、事前の期待が無かっただけに、一瞬でワクワク感が最高潮になりました。全撮影禁なのがとても残念でした。特に刺繍は、本当に様々な技法も見ることが出来、また、絵柄にリズムがあって楽しく、とても良かったです。《縫箔 白地青海波に扇面散模様》ちょっと珍しく粋な感じの《小袖 白綸子地石畳将棋模様》、3色揃いのうち2点の《振袖 白綸子地御簾檜扇模様》《振袖 白綸子地御簾檜扇模様》などなど‥、皆々とにかくうっとりの美しさです。後半の資料「古更紗帖」も、昨年中は随分あちこちで「更紗」の展示を見たことなどもあり、楽しめました。それから、着物の掛けられていた「折枝散蒔絵衣桁」に「柴田敬哉作」とあり、気になって検索したところ、彼の柴田是真の孫とのことでした。技は継がれているのですね。
2階の第5展示室は「呉州手─吉祥の器」となっていて、なかなかの内容、名品揃いでこちらも楽しめました。お庭は、寒かったので散歩されている方は少なかったのですが、梅も見えました。… Read More



