モンドリアンの絵、ずっと「描けそう」って思ってた
モンドリアン、なぜこんな絵を描いたのか?
気になって展覧会に行ってきた。
線と四角のシンプルな絵。
タイトルは「コンポジション」
ことばの意味は「構成とか組立」だけど、絵画では「構図」のこと。
どういうこと?構図?
そう言えば、抽象画で有名なカンディンスキーも「コンポジション」って絵を描いてるけど。こちらは“響き”など感覚的な意味も含んでいるとか…
うーん、難しい。
モンドリアンが抽象画を描き始めたのが40代、1912年ごろから。カンディンスキーもほぼ同じ。
ちなみに、デュシャンがサイン入り便器「泉」を出品したのがその5年後。
みんな好き勝手、いえ自由にやり始めた時代。
こうやって、アートって難解?失礼、多様になってきたんだね。
さてモンドリアン。
最初からみんなが知ってる“モンドリアン”じゃなかった。
1872〜1944年 オランダ生まれ。
ゴッホ風、ピカソ風をやったあと、モンドリアン独自の絵画理論、〈新造形主義〉をつくって、それをもとに描いていく。
〈新造形主義〉って?
モンドリアンが説明してる本がある。
タイトルは『ザ・ステイル』 英語でスタイルのこと。
要約したかったけど難しかったので、こちらを引用させてもらう。
『美術検定公式テキスト 西洋・日本美術史の基本』より
自然をその最も根源的な原理にまで遡ることによって、垂直線と水平線の構図に3原色と白、灰、黒を組み合わせるという美学「新造形主義」に至る。
まだちょっと難しいけど…
「コンポジション」は、モンドリアンが考えた美学に沿って描いた絵画。デザイン画でも図形でもないってこと。
スタイリッシュに感じるのは、究極に突き詰めたからかな。
さらに『ザ・ステイル』はグループの名前でもある。
メンバーで友人の、ドゥースブルフの作品もあった。モンドリアンの作品に似てる。互いに影響しあっていたのがわかる。
ほかにも、リートフェルトは椅子と家をデザインした。オランダにあるシュレーダー邸は映像で紹介されていた。
2000年に世界遺産に登録されたこの家は、モンドリアンの絵画にそっくり。シュレーダー邸で検索すれば見られる。
モンドリアンは〈新造形主義〉を、音楽、文学、演劇、建築にもひろげようとしていた。
しかし、第二次世界大戦がおこり、ニューヨークに亡命。
今回は展示されていないが、ジャズ音楽が聞こえてきそうな「ブロードウェイ・ブギウギ」っていう明るい作品を残している。
モンドリアンの言葉に触れてみたい方、『ザ・ステイル』は今でも読むことができる。
『新装版 バウハウス叢書 5 新しい造形(新造形主義)』ピート・モンドリアン 著 宮島久雄 訳 2020年2月刊行
こんなのも見つけた。
『ケープドリとモンドリアンドリ』
ワウター・ヴァン・レーク 著
野坂悦子 訳
モンドリアンの絵が変わっていくのが、アレンジされて描かれている楽しい絵本。著者はモンドリアンと同じオランダ出身。
さて、初めてモンドリアンの作品を間近に見て、印刷では分からない筆のあとに、モンドリアンがこのキャンバスに向かっていたと感じることができた。
モンドリアンは、新しい芸術を生み、新しい抽象画といわれる絵画を描き、新しい楽しみをくれたのかも。
もう 「描けそう」なんて言えない。