生誕130年 没後60年を越えて 須田国太郎の芸術――三つのまなざし
世田谷美術館|東京都
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スペインに魅了された画家の展覧会
世田谷美術館で開催されている「須田国太郎回顧展」へ。
当時の画家たちはこぞってフランスへ絵の勉強に行ったのに、この方は一人スペインへ。
スペインは他のヨーロッパに比べると田舎臭いイメージが私にはあるが、須田国太郎が見たスペインはどんなものか。
感想としては、この画家のスペインは赤と茶色の世界、という印象。スペインの乾燥した赤土がそうさせているのか、とも思ったが、その色彩が彼の描くスペインの風土や文化に「重み」を与えているようにも感じた。
絵画の他、須田が撮影した、という写真や親族に送ったエアメールなども展示してある。
手紙にはスペイン人とどのように交流していたか、などが書かれている。絵を描いていると子供たちが集まってくる、とか、近所のスペインのおばちゃんにパエリアの作り方を教わった、とか、また違う近所の人が椅子を貸してくれた、とか、私自身のスペインでの生活を思い出しながら読んでいたので、「そうそう、スペイン人て人懐っこいのよねーー、」などと自分の経験も思い出したりした。
ほかには、この方は「能」の絵も描いている。殴り書きのような線で書かれているが、能の一場面がありありとわかって、これらスケッチはいまにも動き出しそう、と思えた。
また、須田が集めた、というグリコのおまけなども展示してある。
須田は晩年病床で、「また絵描きとしてスペインに行きたい、」と何度も言っていたそうである。スペインに魅せられたある一人の画家の、素晴らしい展覧会だった。
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