日本の仮面――芸能と祭りの世界
国立民族学博物館|大阪府
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土偶からライダーまで
昨秋初めて行って大感激した国立民族学博物館にまたまたやって来た。貴重な2泊3日の関西遠征のうち、丸々1日を費やす覚悟で。
特別展「日本の仮面」と、コレクション展示をじっくり見るという二つの目的があったのだが、後者は今回もまた駆け足鑑賞になってしまったのは不覚の極み。
というのも、特別展のセミナーがある日が訪問日に運よく合致し申し込んで聴講したから。
90分間のセミナーは面白かったのだが、そのぶんコレクションを見る時間は減ってしまった。
快晴の土曜日AM、阪急電車とモノレールを乗り継いで万博記念公園駅で下車。改札出たとこのコンビニでおにぎり買ってから、公園入場口へ。
民博展チケット買えば公園内に入れるので、あとは民博へまっしぐら。特別展もコレクション展も見なけりゃならんし、セミナーもあるので実に忙しい。
特別展は本館横の別館でいつも開催されている。前回はインドのヒンズーアートだったが、今回は日本の仮面。
古代から現代まで、日本各地のお祭りや伝統芸能で用いられる仮面を軸にした展示だ。
当然のことながら、いろんな類の仮面が山ほど、しかし整然とテーマごとに分類されて並んでる。
天下の民博だからぬかりはない。どこでどんな時に使うのかはちゃんとわかる。
そこで出てくるのが客側の必然的願望。「そのお祭りや行事ってどんなの?」
ご安心ください。民博の最大のストロングポイントは映像ですから。要所要所でちゃんとそれが見れるようになってます。
私は、お面よりそっちのほうを見るのに長時間かけたぐらいだ。
モニターで流れる各地の風習や伝統芸能を見始めたら、そこから動けなくなるほど面白い。特に来訪神。
昨秋当館に来たとき、コレクション展示室で見入ってしまった鹿児島県硫黄島のメンドン動画。
今回も同じ映像が流れてたのだが、何べん見ても面白い。ドはまりです(笑)
コンプラ治外法権の伝統行事なのでお祭り日にはメンドン大暴れ。女性にもとびかかれるという特典付き。
まあ悪さ的な行為じゃないし、抱きつかれた女性には福来るってことなので、島の皆さんはニコニコして見てらっしゃいます。
セミナーでは、当館の笹原教授のメンドン解説があって、「島のおばあさん曰く、昔はこんなもんじゃなかった。」そうです(笑)
鎌倉の御霊神社のお祭りは、お面をかぶった仮装行列で、お多福面の妊婦さん役の女性のお腹を本物の妊婦さんがさすって安産を祈願するシーンなんかは実に微笑ましい。
御霊神社は一度お参りしたことあり。江ノ電の踏切越しに鳥居が立ってるフォトジェニックなスポットとして有名だけど、このお祭りもいいですね。
他にも日本各地の仮面をかぶって行う芸能や行事の貴重な映像が目白押し。仮面を見つつ、そっちも是非視聴してみてください。
映像のことばかり書いてしまいました。仮面のレビューもしないといけません。
仮面はまずそれが何の顔かに真っ先に注目してしまいます。
まあ当たり前なんですが、人間も動物も神様も仏様も鬼も老若男女も善も悪も、すべて網羅されています。
そしてそれをかぶって何を祈るか舞うか、喜怒哀楽すべてを表現します。
面をかぶった瞬間、人は何か別のものに変身してしまう。脱いだ瞬間にまたもとの人に戻る。
現実界とトランス界との橋渡し役をつかさどるのが仮面なんだと思います。
当展に訪れたかたの次なる願望に、「自分もこれらのお面をかぶってみたい」があると思う。
これも、会場の後半にそのコーナーがあります。
と言っても、手に取って顔に装着するのではなく、パネルに掛けた能面の裏側に顔を近づけて穴の開いた目の部分から向こう側を見ると言うものです。
いくつかのお面があって、私はその全部をやってみました。
そこでわかったことは、両目で見るのは不可能だと言うこと。片目からだけしか視界はなく、これつけて能や狂言するのは大変だなあと痛感した次第です。
展示ラストは現代の仮面。
ライダーは当然として、昭和のTV番組で活躍したヒーローたちの資料がズラリと並ぶ。
前出の笹原先生によると、これらのヒーローお面も並べたかったが「大人の事情」で、できなかったそう。なるほど、わかります(笑)
でも、これは外せないだろと個人的に期待してたプロレスのマスクが出てたのはよかった。
プロレスラーで和泉市市会議員のスペル・デルフィンさんのご協力に大感謝です。
午前中は日本の仮面展見て、買ってきたおにぎりを休憩コーナーでそそくさと食べて、コレクション展見てたらセミナーの時間となり、大ホールへ。
なんとも濃密すぎる1日となってしまいました。