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特集展示 雛まつりと人形―古今雛の東西―

特集展示 雛まつりと人形―古今雛の東西―

京都国立博物館|京都府

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雛人形の多様性 -祓いから教育まで-

雛祭りは女の子の健やかな成長と幸福を願うお祭りですが、人形を通して人の感情や生活に深く関わる、多様な役割と意味を持っています。
その昔、雛人形は人々の穢れや罪を代わりに引き受け、川に流して清める目的で使われてきました。これを立雛と呼び、壇上に据えて見せることを前提としない古い形式の形代(かたしろ)です。下鴨神社では、3月3日に藁で編んだ入れ物に厄を移した形代を乗せて自分の穢れを流す伝統が毎年おこなわれています。雛祭りが自然との調和を保ち、穏やかな生活を送るための重要な儀式であったことが伺えます。

展示される御所人形や賀茂人形など、さまざまな種類の雛人形はそれぞれが担う意味は様々ですが、子どもたちの無邪気な動きを捉えたり、物語や場面を表現します。「古今雛」と呼ばれる雛人形は、江戸や関西地方の異なる美意識を反映し、その時代の生活や文化を垣間見せます。多くの人形と雛道具が使われる点は共通していますが、地域によって異なる文化や美意識が反映されるのが興味深いです。

江戸時代の終わりには、武家の華やかな「段飾り」や上方の「御殿飾り」など、環境や飾り方、見る人の社会的属性に応じた雛祭りの形式が完成しました。特に、上方の雛飾りが江戸に比べて質素でシンプルなのは、女の子に家事を教える目的があったためとされます。上方の実用的な教育方針を反映していて興味深いですね。

地域や時代を比較してみると、雛人形や雛祭りが持つ多様性は非常に豊かであり、これらを一括りに理解することは難しいと感じます。実際、明治時代以降の近代化と通信技術の発展により、日本全国で雛祭りの形式が均一化され、現在私たちが知るスタイルになったのですが、その背後には、古来からの呪術的な側面から教育的な側面に至るまで、幅広い精神文化が反映されていると感じられます。

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