[館蔵]近代の日本画展
五島美術館|東京都
開催期間: ~
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川合玉堂、焚火の煙
ずっと気になっていた住宅街の小さな美術館。
美術館の周りは木々も多く、前日の雨によって立ち上った土の香りが心地よく感じました。
入口を入ってすぐ右側に展示室1。いきなり大きな仏像がお出迎え。
お顔は恐ろしい形相でしたが、愛(?)の神様なんだそう。
木造の台座も立派で、しばらく見入ってしまいました。
そして、薄暗い展示室には日本画が浮かび上がるようにずらり。
横山大観の達磨は、墨特有のぼんやりとした山々とキャラクターのような達磨のコントラストが印象的。
上村松園の上臈の図は、色白の肌に加えて、鼻と耳たぶの赤みが人間らしく、愛らしく、美しく感じました。
絵自体もさることながら、「虫売り」や「化粧をする武士」など描かれているテーマも面白かったです。
1番見たかった川合玉堂の焚火は、煙の描き方に感動。
人物や森も細かく本物のように描かれているけど、メインは立ち上る煙。
薄いし消えてしまう煙が、作品中央でしっかり主役になっています。
これは本物を見る価値があると思いました。
展示室向かって左側は中国美術の影響を受けた日本画たち。
向かって右側の日本画よりも、赤橙の中国らしい色味が目立ちわかりやすかったです。
展示室2は小さく、陶器作品と棟方志功がメイン。
棟方志功の名前は聞いたことがあるけど、初めて作品を見ました。
自分が習っていた習字の先生の流派そっくりの字体に驚き、あの独特な字体はここから来ていたのか…とまた見入ってしまいました。
エネルギッシュで荒々しいけど、可愛らしさと儚さもある作品でした。
五島美術館を設立した五島慶太と棟方志功が縁があるようです。
こちらの美術館は庭園も素晴らしい。
庭には水墨画で描かれたような枝の節が細かく曲がった松がありました。
庭を抜けてさらに小さな森の中を散策。
鶯が鳴いていたりして、東京にこんな場所があると初めて知りました。
庭を全て回ったらかなり時間がかかりそうです。
来場者は年配の方が多く、落ち着いた雰囲気で絵と庭を楽しめる美術館でした。