鑑賞レポート一覧

イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき

イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき

美術館「えき」KYOTO|京都府

開催期間:

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ストーリー性と実用性を兼ね備えた美しさ

この展覧会では、透過性と多彩な色を用いた革新的なガラス製品が展示されていますが、それ以前からの進化こそが見どころです。

〇イッタラ以前のガラス製品
イッタラ以前のガラスは分厚く、ビール瓶のように光を透過させないことで液体の劣化を防ぎました。しかし、それは同時に北欧のやわらかな光の下、厚い壁に開いた小さな開口部を通して入る仄暗い光の中で、鈍く光を反射することでその存在を知覚できるものでした。

イッタラの革新的な製法によって、薄いガラスを通して室内の家具やガラスの向こう側の景色や天候と時間による光線の変化を無限に楽しむことができるアイテムへと進化し、空間を豊かに彩るアイテムへと変貌していきます。

〇《ルーツ》コレクション(2015-)
《ルーツ》は、イッタラの技術的進化を示す花器シリーズで、工場の豊富なカラーパレットを用い、ガラスの厚みと曲線を調整することで色彩の深みと光の屈折を繊細に操り、視覚的に魅力的な作品です。

上から覗き込むと、花器の断面が唇を想起させるひし形の繊細なカーブに驚かされます。このひし形の一辺は、肉厚な部分と薄い部分が交互に現れることで、光の濃淡を変化させる独特の効果を生み出しています。この技術により、見る角度次第でガラスを通して向こう側へ伸びていく視線が不意に切断されたり、部屋の思いもよらない部分がガラスの面に映り込む効果を生んでいます。

≪アアルト・ベース≫では、ガラスの向こう側がオブジェの曲線によって歪む「質量」としての存在感がありましたが、《ルーツ》コレクションでは、光の屈折によって空間からその姿を消し、現れたかと思うと光の鏡面となって光り輝いていたりと、変幻自在な姿を見せます。

〇《TAKOカード》
カイ・フランクのユニバーサル・デザインの哲学は、製紙工場の端材に描かれた《TAKOカード》スケッチからも伺え、これが彼の代表作≪キルタ≫とその後継品≪ティーマ≫の設計思想の基となっています。描かれた線と濃淡を通じて浮かび上がってくる器の姿がとても味わい深いです。

これらのシリーズは、シンプルな形と色で、積み重ねができて多様な用途に使え、他の食器とも合わせやすい機能性と汎用性を兼ね備えています。戦後のフィンランドで、限られた食器の数と収納スペースに対するニーズに応えるために設計されました。

〇イッタラを読み解く13の視点
フィンランドの豊かな自然と『カレワラ』神話からのインスピレーションは、イッタラのガラス作品に独特の魅力を吹き込んでいます。≪アーキペラゴ≫シリーズは、バルト海の島々を模しており、輝く気泡、厳しい海流、そして荒々しいデザインを通じてその美しさを捉えています。

同様に、≪ウルティマ・ツーレ≫では、ガラスの底面に滴る水や立ち上がる木の幹をイメージし、視覚的に重力を感じさせる作品が展開されます。これらの作品は、水面に広がる波紋や透明な樹木のような質感を通じて、フィンランドの自然の美しさと神話の魅力を捉え、空間を豊かに彩る独特の存在となっています。


イッタラのアプローチは、装飾的な価値よりも機能性と汎用性を重視し、限られた資源で美しく実用的な製品を生み出すことで、現代のニーズに応える新しい時代を象徴しています。このデザインプロセスと思想は、美的価値に加えて持続可能性と機能性を統合し、自然や文化との調和を通じて私たちの生活空間に新たな価値をもたらす方法を示しています。


◇= フィンランドと北欧のつながりで映画の紹介 =◇
〇『アアルト』 京都シネマで上映中
アルヴァ・アアルトと彼の妻アイノの人生と作品を主に描いたドキュメンタリー映画です。彼らの手紙や友人たちの証言を通じて、アアルトの有機的なデザインと名建築、アアルトの「スツール60」や「アアルトベース」などのアイコン的作品から、自然と調和する「ルイ・カレ邸」まで、彼の多作なキャリアが躍動感あふれるタッチで描かれています。
https://www.kyotocinema.jp/

〇『【特集】愛すべきアキ・カウリスマキ』 京都出町座で上映中
フィンランドのアキ・カウリスマキ監督の『【特集】愛すべきアキ・カウリスマキ』が京都市上京区の出町座で開催中です。
期間中、彼の代表作「カラマリ・ユニオン」や「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」を含む、彼の監督作品17作品が上映されます。風変わりなカウリスマキ映画のファンはこの機会をお見逃しなく。
https://demachiza.com/movies/14733

〇『カール・テオドア・ドライヤー セレクションvol.2』
デンマークの映画監督カール・テオドア・ドライヤーの映画祭が開催中です。彼の静謐で美しい映像と深い人間心理を探るストーリーで知られる代表作「ミカエル」、「あるじ」、「裁かるゝジャンヌ」を含む7作品が上映されます。当分の期間は主に各地のミニ・シアター系の映画館で鑑賞ができると思います。上映館や上映期間は下記のURLをお確かめください。
https://www.zaziefilms.com/dreyer2023/

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