【特別展】古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン
国立国際美術館|大阪府
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奥深いメソアメリカ文明に触れる
ユカタン半島のチチェン・イッツァの泉の底には、装身具等とともに多くの人骨が眠っている。それはマヤ文明の人身供犠の犠牲者たちである。というような内容の本を、小学生のころ読んで以来、神秘的で少し怖いマヤのことがより詳しく知りたいと思っていました。それからウン十年。もちろん、ユカタン半島を訪れる機会など無いままでしたが、古代メキシコ展で最新の発掘研究の成果が見られるということでワクワクと出かけました。
展示品は、どれもスペイン人の破壊を免れた貴重な品ばかりで、見ごたえがありました。死のディスク石彫、鷲の戦士像はどちらも意外な大きさで、素晴らしかったです。赤の女王の副葬品は、さすがパレンケ盛期の王の母にふさわしく、品のあるものでした。
私が興味を持っていた人身供犠については、人間のために犠牲を払っている神に応えて人間の側からも犠牲を捧げるのである、という説明でした。なるほど、人権尊重の思想もない当時、飢饉でも天災でも神にすがるしかなかった人々が、持ち物の中で最も大切な生命を差し出して神にアピールしようとしたことは想像できます。しかし、特にアステカ文明では生贄を得るため軍国主義化して戦争を繰り返し、捕虜たちを多数犠牲にしていたということを知り、その矛盾に複雑な気持ちになりました。
他にも、旧大陸から遠く隔絶された地にあって全く独自にゼロの概念の発見(マヤ文字にはゼロがある)や紙の発明(捕虜や奴隷の印に耳ピアスに紙を用いた)などを成し遂げたことを、展示品の解説のはしばしから知ることができました。