ガウディとサグラダ・ファミリア展
東京国立近代美術館|東京都
開催期間: ~
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作品は協働の成果であり、協働は愛を基盤にしてだけ可能であるー今なお成長続ける有機物のような聖堂の軌跡
【 参考情報 】個人的見解です
拝観時間:じっくり観て 2時間強。
8月3日よりチケットは予約制。夏休みであることもあり、予約制でも場内は相当な混雑(ラッシュ時のよう)です。
入場の列に並ぶと戻れないので、その前にクローク、お手洗いを済ませること。
常設展も見応えあり。
間違いなく、私にとっての 今年の美術展のハイライト!
建築が好きで 中でもガウディは別格で、20年くらい前に ガウディ建築を見るためにバルセロナに訪れ、バルセロナの観覧可能な建築物(当時は観覧不可も多かった)全て+コロニア・グエル教会+モンセラットを短い旅程で詰め込んで訪問しました。
当時サグラダ・ファミリアを見ながら、「この時代に生きていてよかった…私が生きている間に完成するのだろうか…でも、もし完成したら見に行きたいな…」と思って見つめたものでした。
今回の展覧会では、建築学を学んでいた学生時代の図面や愛読書、研究、その当時の時代背景、
ガウディの建築群とともに、サグラダファミリアの経緯、ガウディ生前の取り組みと、後世の職人たちがガウディの意図を読み解き形にしてきた経緯が紹介されています。
どれもこれまでの特集番組などとは一味違い、見たことのない資料や、模型などが間近に見られる貴重な機会かと思いますが、この展覧会のキモは 私にとってはそれではありません。
そこにサグラダ・ファミリアがないのに、建築とそれに関わった人々の思いが如実に感じられる空間、
サグラダ・ファミリアとガウディに対する 敬愛の念が感じられる展覧会だったということです。
特に第三部(写真撮影可能エリア)は、足を踏み入れた時から空気が違っていて、心が震えて 見ながら何度も涙ぐみそうになりました。
サグラダ・ファミリアが美しいのはいうまでもないけれど、美しさだけで こんなに惹かれるんじゃない。
教会などの信仰の場である建築物は、どの国でも、どんな建物でも 気持ちの面で背筋を伸ばす感覚になるのは、 そこに、人々の思いや願いが蓄積されているからなんじゃないかと思います。
サグラダファミリアは、ガウディが関わる以前から「貴賤を問わず全ての人に開かれた教会に」と 寄付によって始まった。
その始まりからして すでに神聖な願いが軸で、形の完成より、誠実な向き合い方でもって続いてきた事業が、代替わりをし多くの人の手によって 100年超えて今なお継続してきたこと…
そいういうものには、願いとか、祈りとか 希望とか…
そいうものがなければ、形になったりしないから。
そういう人々の思いが結晶化され 滲み出て感じられるから、こんなに惹きつけられるのではないかと思うのです。
そういう意味では、奇跡の建築物だと思います。
「作品は協働の成果であり、協働は愛を基盤にしてだけ可能である」
ガウディのことばとして 4部で紹介されていた言葉です。
それ以外にもとても素晴らしい言葉がまとめられていましたが、ガウディとサグラダ・ファミリアが素晴らしいのはいうまでもないのですが、
この言葉を選び、ここに並べた展覧会の実行スタッフたちもまた、ガウディがなそうとしたことを誠実に見つめ、愛を持って作り上げたことがわかるような仕事ぶりでした。
この展覧会もまた、愛を基盤とした協働によって実現しているのでしょう…
このような展覧会を実現させてくださった、関係者の皆様に感謝申し上げます。
そして、「必ず 完成したサグラダファミリアを見に行く」ということを、
希望とか願いではなく、絶対にやる人生タスクとして胸に刻む そういう展覧会となりました。