初代 志野宗信没後五百年記念 香道 志野流の道統
細見美術館|京都府
開催期間: ~
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薫りの世界
訪問日 2023年3月19日(日)
所要時間 約1時間
武野紹鴎、千利休らが確立した「茶道」ほど聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、互いに密接な関係にある「香道」。これらもまたその一手一手に無駄はなく、洗練された動きのもと、道として確立されていく様子が俯瞰できます。
日本の香りの文化の始まりは推古朝に遡り、香木の淡路島漂着に伴う、という。仏教の広まりとともに重用されるも、遣唐使廃止に伴う国風化の勃興によりそれまでの中国とは異なる独自の歩みを始めます。このときそれまでは主に空間を彩っていた香りが個人を表現するひとつの手段として確立されます。そうした個人の表現がされていくなか、東山において室町八代将軍足利義政とその同朋衆、志野宗信により基礎が確立されます。以降500年以上にわたり現家元まで連綿と継承される様子が明香と、それに纏わる美術工芸品により紹介されています。
展覧会の中で実際の「香り」は体験できませんが、その分類は香りと「産地」に依ることが詳細に解説されており、解りやすかったです。よく耳にする名木、正倉院の「蘭奢待」がなぜ香木の中での最上に位置づけられているということも分かるかと思います。他には香木を保管しておく包み紙についても展示されており、その包は香りを連想させるような色合いで、一つ一つ目で追ってしまいました。
言ってしまえば、小さな木片。それを取り巻く人とモノ、その世界はまだまだ広く知れ渡ってはいませんが、この展覧会をきっかけに現代の香りの在り方について考えてみるのも面白いと思います。