生誕100年 柚木沙弥郎展
日本民藝館|東京都
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イカスぜ、サミロー!
今ならエモイかな。(それも古い?)
でも、柚木沙弥郎さんの染め物はほんとにイカスんだぜ。
まず、お名前の読み方。
私は最初「ゆずきさやお」と読んだ。ところがそうじゃなくて、「ゆのきさみろう」だった。
ユノキサミローって、なんか耳に残る素敵な響きだ。女子美の学長さんも務めておられたので、女子大生からは「サミー」とかなんとか呼ばれてたのかも(笑)
サミローさんは、作品から類推できるように民藝派の重鎮、芹沢銈介の薫陶を受けた染色作家だ。
動物、植物、物品、幾何文様など、いろんなものをデザイン化して、色とりどりに型染めした作品は、わかりやすくて親しみやすくて、なおかつアートを感じる一級品だ。
芹沢との違いをあえて言うならば、サミローさんのはシンプルな大雑把感があるってとこだろうか。
緻密で計算され尽くしたかのような芹沢模様に対して、もっとのびのびと大胆に、単純化・省略化で贅肉そぎ落としたパターンや絵柄のカッコよさがある。
ただ、色使いは両者よく似たとこはあって、ああやはり師弟なんだなあと思ってしまう。
会場には、展示室、通路の壁、階段踊り場と、場所を問わず柚木染め物が展示してあるが、民藝館の木調と相俟って絶妙な一体感が生まれている。
壁に掛けた大判布も、卓上に置いた小品も、どれもが「こんなのうちにもあったらいいな」と思うものばかりだ。
これはカーテン、これはテーブルクロス、これは暖簾、これはトートバッグにと、あれこれ使い道を考えてしまう。
そう、これこそが民藝の精神「用の美」なんだ。
展覧会見た後に、大相撲中継見ててふと思ったのは、化粧まわしにいいんじゃないかと。遠目にも目立つし、色も鮮やかだし、誰か作ってみないかな。
民藝館は4年ぶり2回目の訪問。朝から雨が降り止まぬ日だったが、駒場東大前駅からの道は当展へ向かう客の雨傘の列が続いてた。
館内へは靴にビニールカバー被せて土足で上がる。前はたしかスリッパだったけど。
当館は柳宗悦が建てた木造建築のれっきとした美術館で、民家とは一線を画す。
こんな造りの建物に人は住まない。例えるなら昭和初期の学校みたいな感じ。
ただ、部屋が教室的かというと採光は控えてあるので、やはりちゃんとした展示室仕様だ。
企画展示以外にも、朝鮮陶磁器等も併せて展示してあって、どれもが無銘。柳宗悦の収集品を観るならこの雰囲気を置いて他にないとも言える。
民家と言うなら、当館の斜め向かいにある西館がそれにあたる。
柳宗悦の住居で、その日は月に数回ある公開日だったのでそれを狙って来たわけだ。
柚木展の後に行ってみたが、まあ確かに民家ではある。民家ではあるが、かなりの上流階級邸宅だね。移築した長屋門からしてすでにパンピーの家とは違うし。
母屋は柳の設計だそうだが、その特徴説明等はないので、夫人の声楽練習室とか、書斎に残る書物などで、インテリの富裕層が住んでたとわかる。
話を戻してサミローさん。御年100歳。
企画展会場ではご本人が作品や民藝との関りを語る映像も流れてた。
かくしゃくとしてオシャレな100歳。現役でご活躍中なのがマジでイカス。
「ものごころついたのは80歳になってからなんだから」とはご本人のお言葉。
ありがたく拝受いたしました。