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コレクション展示 中村屋サロン

コレクション展示 中村屋サロン

中村屋サロン美術館|東京都

開催期間:

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EFL36 inspired by FGK36

私の上京パターンは土日+月曜年休の2泊3日にすることが多い。月曜の航空便は安いのが理由。
で、月曜の美術館巡りをするわけだが、やってるとこが少ない。最近は増えつつあるものの、やはり定休日の主流は依然として月曜だ。
よって、いつもお世話になるのが、六本木の国立新美、サントリー美、汐留のパナソニック美など月曜オープン館。以前は白金の庭園美もやってたが、月曜休館になってしまった。
隣県では横浜美が月曜開館のパイオニアだが今は長期休館中。千葉市美、横須賀美はちと遠いし。
まあそんなわけですので、これを読まれた美術館様、どうか定休日を月曜以外の平日にしてください。よろしくお願い申し上げます。

さてマクラが長くなったが、新宿駅東口の中村屋サロン美術館。火曜が定休日だ。
月曜のお昼時にやってまいりました。その時間帯にしたのにはわけがあって、企画展見た後に地階でカレー食べるからです。
そういうかた、多いのでは?
もちろん、まずはおなかを満たしてから美術鑑賞だってのもあり。私は先に3階へ上がり企画展を見ることにした。

入館料300円払って、展示室へ。最初は、今回の目玉であるアンリ・リヴィエールの木版画集《エッフェル塔三十六景》。
いやあ、驚いた。
ジャポニズムに傾倒した西欧画家は数あれど、ここまでやった人がいたなんて。
これ、富嶽三十六景のまんまパクリ、もとい、トリビュート作品じゃないですか。
つまり、北斎が富士山を入れて三十六景描いたのに対し、リヴィエールはエッフェル塔で三十六景やってるのです。
これが、実に良い!
19世紀末のパリ風景や市民の姿を誠にうまく捉えてる。ビューポイントも、地上だったり2階の窓からだったりセーヌ川べりだったりと、バリエーション豊富で北斎も顔負けだ。そして、どの絵にも、近くならデーンと、遠くならポツンとエッフェル塔が聳えてる。
この版画集見てると、技師エッフェルは富士山をモデルにして塔を設計したんじゃないかと思えてくる。それほど、エッフェル塔はまるでパリに富士山があるかの如く描かれて、風景に溶け込んでいる。
これはもうトリビュートの域を超えてるね。リヴィエールさん天晴だ。

リヴィエールが描いて、北斎が描いてないものがある。それは、エッフェル塔の上での光景だ。
最初は、塔の脚部分の工事現場を地上で描いてるが、高層部分になると自ら塔に上がって現場でスケッチしてるのだ。
配管工事してる人、木製のゴンドラに乗って鉄骨組み立ててる人、工事写真の代わりになるぐらいのスナップショットだね。
さすがの北斎も、富士山に登って描いてはいないから、これはリヴィエールのクリーンヒットと言っていい。

富嶽三十六景、エッフェル塔三十六景、略してFGK36とEFL36。
江戸でも巴里でも人気アイドルだ。

次の部屋は日本人作家の彫刻と絵画。
荻原守衛のブロンズ像から始まって、鈴木良三、萬鉄五郎、藤島武二、吉田博、鶴田吾郎、中村彝らの洋画が出展されていた。
当館に最もゆかりのある画家は中村彝。中村屋の裏にアトリエを構えてたんだそう。
そして、中村屋創業者のご令嬢をモデルにして描いてるうちに恋をしてプロポーズしたが実らなかったとのこと。その女性、俊子の肖像画もありました。
珍しいのは高村光太郎の自画像。展示リストに1913年とあったので、千恵子と結婚する前年、30歳の姿だ。
光太郎と言えば、メガネかけた老人の印象しかないので、この絵は見といて損はないです。

鑑賞中、客は私一人。新宿繁華街のビルの静謐な一室で、良質な作品と邂逅できて嬉しかった。
地階レストランでの印度カレーが美味しかったのは言うまでもない。

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