日本工芸会陶芸部会50周年記念展 未来へつなぐ陶芸―伝統工芸のチカラ展
山口県立萩美術館・浦上記念館|山口県
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大作陶器が140点並ぶ、大展覧会
戦後に、伝統工芸という名のもとに発展してきた陶芸を一堂に並べる大展覧会である。全140点余の作品が、1人1作という基本方針で並べられている(複数出品されている方も数人いたようだが、同一名跡の別人かもしれない)。いずれも100センチを超えるような大作ばかりで、小さいものは、驚くことに茶器2点だけだった。これほど大作が140点も並ぶ陶芸展は、私は見たことがない。
作品は、ほぼ時代順に並べられており、戦後すぐに伝統工芸という分野を発足させた頃の第1部からはじまり、ごく最近の若手中心の第4部まで、きわめて充実した展示である。中でも目立つのは、第1部の展示室にはいって正面にある、文化勲章または文化功労者受賞の3人(板谷波山、楠部彌一、6代清水六兵衛)の作品が並ぶコーナーが圧巻だった。多少こぶりな(といっても大きいものが大半だが)作品を集めたつなぎの間を抜けると、少し時代を経た作品の部屋に。若い方々の作品になってくると、色、形など独特のものが増えていく。1部から3部は、貴重な作品ということなのだろうか、すべてガラスの向こうに鎮座した作品展示だったが、最後の第4部は、展示室まんなかに設置された台の上に飾られていて、直に拝見することができたのは、満足度をより高める構成だったと思う。唯一残念だったのは、大好きな金城さんの作品がなかった(見落とした?)ことくらい。高台が小さく上に開いているような作品は、転がらないように、細いピアノ線のようなもので固定し、展示も苦労されたと思う。明るくて、天井が高く広々とした展示室、こういう環境で展示されるべき大作の展示。これからも全国を巡回するそうだが、私は萩でみることができてよかったと思う。