西宮市大谷記念美術館 開館50周年記念 特別展 Back to 1972 50年前の現代美術へ
西宮市大谷記念美術館|兵庫県
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美術作品で50年を時空旅行
阪神電車香櫨園駅から地下道をくぐり、閑静な住宅街を抜けた場所にある美術館。毎年、イタリアボローニャ国際絵本原画展を見るために訪れている。故大谷竹次郎氏(元昭和電極社長)が土地建物に加えて所蔵する美術作品を寄贈して誕生した経過があり、今回の特別展は大谷氏が寄贈した美術作品を展示するとともに50年前の現代美術作品を展示している。
受付でパッケージデザインも今回の特別展テーマにぴったりな特製ブレンドコーヒーパックをプレゼントしていただき、いきなり得した気分。会場内では現在国立新美術館で作品展が開かれているウファン、初めは日本画を志していたという異色の松谷武判、平田洋一ら時代を映す作品が年表とともに展示され、作品理解にもつながる。
72年は自分自身もまだ高校生。日本列島改造論を掲げて田中角栄内閣が誕生し、沖縄返還、札幌オリンピックがあり、良くも悪くも活気づいていた時代だと思う。そんな時代背景に思いを巡らせながら見ると一つ一つの作品がより面白い。中でも個人的に強く印象に残ったのは3点。一つはわが子が幼いころに読み聞かせした谷川俊太郎の絵本で出合った元永定正の作品、まるでバットマンのようだと思った圧倒的な存在感で迫る福岡道雄の「蛾2」、左手にタバコを持ち、右手でコーヒーを飲む女性の姿が不思議な世界へ誘う吉原英雄の「モーニングコーヒー」。ゆっくりと鑑賞し、後で記念のこーひを味わいながら50年という歴史を懐かしんだ。
1階展示フロアでは大谷竹次郎が寄贈した作品展も開かれている。受付窓口で証明書提示が必要だが1972年生まれの人は入館無料になっている。12月11日まで。同館は水曜日が休館となっている。