
開館記念特別展 モディリアーニ展 ─愛と創作に捧げた35年─
大阪中之島美術館|大阪府
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アーモンドアイ怒涛の追い込み
いったいどうなることかと思った。
会場に入ったはいいが、いつまでたってもモジリアニ作品がまともに出てこないから。
前半から中盤にかけては、ゆかりの画家作品ばかり並んでて、肝心の本人作品はその間隙を縫ってちょこちょこと展示されているだけだ。
よくある企画展の手法ではあるが、度が過ぎる。
そりゃまあ、画家の交友関係ってのは大事だし、相互に描いたり描かれたり、影響受けたというなら双作品を並べるのは大ありだ。
しかし、当展のタイトルは「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた35年―」でしょ。客は彼の作品攻めになるのを期待するじゃない。
それがどうだ。展示リストで数えたら全95点のうち本人作品は40点。これだったら「モディリアーニと○○展」がふさわしい。
当サイトに他のかたも書いておられたが、展示は数じゃなくて要は見せ方だ。開館を飾る記念展への意気込みはわかるが、空回りの感あり。
以上、辛口批評は終わり。
展覧会後半は打って変わって、モジリアニの女性像オンパレードだ。
それまでのモヤモヤが一挙に吹き飛んだ。
絵を見て作者がすぐわかるってのは、私ら素人にとっては重要な鑑賞ポイント。モジリアニはその好例だ。
絵のタッチとか、色使いとかでなく、描かれた人物がワンパターンなとこがいい。
とりわけ女性像。面長、首長、なで肩、そして特徴ある眼。
彼の描く女性の眼は、黒目があるのとないのがあって、ない場合はゾンビか埴輪かとなるところ、ちゃんと生きてる美しい女性だとわかるのがすごい。
ましてやあのロクロ首だ。デフォルメの妙でここまでやれるのはモジリアニだけだろう。
当展にやってきた作品群は、国内の主要な美術館コレクションがほぼ揃っている。一館に一作、必ずモジリアニがあるってのがよくわかる。
大原、ポーラ、アーティゾン、富士、大山崎、ひろしま、名古屋市美、等々いつも並んでるロクロ首がただ今大阪中之島へ出張中だ。
なんだか、日本中の神様が10月だけ出雲に集結する感じw
そして、今回の目玉である当館所有の裸婦像がその中心にいる。その女性と同一人物が描かれた作品もベルギーから来日だ。
35歳で夭逝したモジリアニが描いた裸婦は数少ないそう。その希少な作品のうち3作が見れます。
展覧会ラストを飾るのはグレタ・ガルボの美術品コレクションの一枚。
奇しくもガルボの女優からの引退も35歳。以後の隠遁生活において、部屋を飾っていた絵画の中にモジリアニもあったんだね。
当展前半の水増し感は、後半に訪れるモジリアニ大攻勢によって完全に払拭される。
アーモンド型の優しい女性の眼が疾風怒濤の如く押し寄せる様は、さながら名牝アーモンドアイが府中の直線を一気に駆け抜ける爽快感と相似たり。