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シベリアシリーズを忘れる美術館
山口県長門市三隅地区は以前は大津郡三隅町といい、海も山もある山陰の小さな町だ。
香月泰男は、ここを「私の地球」と呼んで絵描きとして過ごし、その人生を終えた。
香月没後、ご遺族からの作品寄贈により三隅の田園地域の中にできたのが香月泰男美術館で、コレクション企画展だけをずっと開催してきている。
香月と言えば「シベリアシリーズ」。
シベリア抑留という暗くて重いモチーフで描かれた作品群は、厳寒の地での過酷な体験と遠い故国への望郷の念が痛切に伝わってくる名作だ。
先ごろ東日本を巡回した回顧展でご覧になったかたも多かろうし、また見たいと思って山口県を訪れる方もあろう。
そして、香月美術館に来ればシベリアシリーズに再会できると。
しか… Read More