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「見方」が新たな世界をみせる
何を「彫刻」とするかは、現代美術において、その範疇は広い。逆に、この展示を通じて、いわゆる「彫刻」とはどのような要素を指すのか、改めて考えさせられる。作品によっては、子どもが学校で使うような文房具が、アートとして展示される。逆に言えば、文房具は、文房具でさえも、身近な道具ですら、アートになる、ということだ。
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色とりどりのスーパーボール、付箋、色鉛筆、ゼムクリップ、画鋲、折り紙、コピー用紙、段ボール、ハンマーなどの多種多様な事務用品や道具類などに、積み上げる、並べる、重ねる、束ねる、折り曲げる、立てる、寝かせる、傾斜させるなどというシンプルな日常的行為を付加することにより冨井大裕(とみいもとひろ 1973年生まれ)は、既製品から本来的意味や機能を解放し、無二の彫刻としての新たな様相を現前させます。
大量生産された消費財は、冨井によって基本的機能をはく奪されながらも、オリジナルの形態と色彩を残したまま、モノから作品へとモディファイされます。この変容は社会システムの中で個々人がになう役割から各人が自由へと解放されるプロセスのメタファーともなっています。また生産・流通・消費・廃棄(死)というモノの経済プロセスは中立的に停止されるとともに、制作・展示・消費・保存(不死)というプロセスを持つ美術品の特異性をも浮き彫りにします。
こうして彫刻家の能動性と鑑賞者の受動性は中動的に開かれ、美術館と家庭や学校やオフィスが等価で脱機能的な自由の場として生起します。家庭用品や文房具、事務用品が彫刻に変容し、かつ彫刻が生活世界へと還元される往還システムによって、誰もが彫刻家になりうることの可能性を確信させる冨井大裕の新作を中心とした約9シリーズ/約45件/約2800点の“彫刻”とともに、私たちの持つ創造性を自由に解放する機会を探ります。
会期 | 2023年7月8日(土)~2023年9月3日(日) |
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会場 | 栃木県立美術館 Google Map |
住所 | 栃木県宇都宮市桜4-2-7 |
時間 | 9:30~17:00 (最終入場時間 16:30) |
休館日 |
月曜日、7月18日(火) ※ただし、7月17日は開館 |
観覧料 | 一般 1,000円(900円) 大高生 600円(500円) 中学生以下 無料
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TEL | 028-621-3566 |
URL | http://www.art.pref.tochigi.lg.jp/index.html |
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何を「彫刻」とするかは、現代美術において、その範疇は広い。逆に、この展示を通じて、いわゆる「彫刻」とはどのような要素を指すのか、改めて考えさせられる。作品によっては、子どもが学校で使うような文房具が、アートとして展示される。逆に言えば、文房具は、文房具でさえも、身近な道具ですら、アートになる、ということだ。
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