5.0
日本画の意味
正直、江戸時代以前と明治以降の「日本画」の違いを意識したことがなかった。しかし今回は、まず最初の部屋で江戸時代までの「日本画」が、その後の部屋で明治以降の日本画が展示され、それらがまったく違うことがわかり、日本画に対して雑な認識をしていたのだとわかった。
最後の部屋で見た、山下摩起の「雪」という作品が印象に残った。最初の部屋で見た「四季草花図」という屏風絵では草花が典雅に配置されていたが、「雪」では雪の重みや雪が笹から雪崩れるような動きを感じた。山下摩起が西洋美術から学んだものを感じ取れた。
芥川龍之介が「西洋画のような日本画」という文章で、日本画の展覧会の感想として、「日本画で西洋画のような作品を描く必然性を感じられない。油彩で描いたほうが良かった」と書いており、西洋の技法を日本画で用いることに対しては批判もあったかもしれないが、山下摩起は面白い試みをしていたと思う。画題、技法、画材などのファクターの組み合わせにより、絵画の可能性は無限大なのだと感じた。