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現代の野獣派?
とにかく、はみ出してる。美術館の展示スペースからも、展示方法からも、はみ出してる。何がはみ出してるかというと、作品も、作家も、そして作品が提示する世界も、スケールが大きい、というか、破格。そして、それは、心を沸き立たせる。楽しくなる。こんな展示は、なかなかない。見ていて飽きない。アートかどうかは、問題ですらない。(もちろん、アートなんだけど)
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これまで芸術が特権的に提示してきた視覚中心の価値観、文化と経済のグローバリズムの構造が、今、地球規模の転換期を迎えています。鴻池朋子は、アニメーション、絵画、絵本、彫刻などから手芸、おとぎ話、歌まで、あらゆる身近なメディアを用い、旅をして地形や季節と共に作品をつくり、その始まりから一貫して芸術の根源的な問い直しを続けてきました。
今回、鴻池は生まれたての体で世界と出会う驚きを「みる誕生」と名付けました。観客は眼だけではなく、手で看(み)る、鼻で診(み)る、耳で視(み)る、そして引力や呼吸で観(み)て、美術館という強固な建築と、疎遠になった自然界とに新たな通路を開いていきます。新作の《どうぶつの糞》の模型、牛革ツギハギの《皮トンビ》などを、人間の痕跡である美術館のコレクションと共存させます。
また、美術館と海を隔てた大島とをつなぐ、生命の波打ち際である「インタータイダル・ゾーン(潮間帯)」というトポスには、国立療養所 菊池恵楓園 絵画クラブ「金陽会」の作品、若林奮の《緑の森の一角獣座 模型》、手芸《物語るテーブルランナー》などが波のように寄せ合います。生きていることは、みな、時も光も全て違う。観客も、もはや人間だけではないのです。
◆ 鴻池朋子(こうのいけともこ)
絵画、彫刻、手芸、歌、映像など様々なメディア、旅でのサイトスペシフィックな表現を通して、芸術の根源的な問い直しを続けている。近年の個展、2015-2017年「根源的暴力」神奈川県民ホール、群馬県立近代美術館、新潟県立万代島美術館(2016年芸術選奨文部科学大臣賞受賞)、2018年「Fur Story」リーズ美術大学(イギリス)、「ハンターギャザラー」秋田県立近代美術館、2020年「FLIP ちゅうがえり」アーティゾン美術館(毎日美術賞) 他。グループ展、2016年「Temporal Turn」カンザス大学スペンサー美術館・カンザス大学自然史博物館(アメリカ)、2017年「Japan-Spirits of Nature」ノルデスカアクヴァレッル美術館(スウェーデン)、2018年「ECHOES FROM THE PAST」シンカ美術館(フィンランド)、2020年「古典× 現代2020」国立新美術館、「The Travel Dialogue Form」グラスゴーインターナショナル(イギリス)、今年 2022年「瀬戸内国際芸術祭 2022」大島では、前回の《リングワンデルング》に新たな道を通すほか、カフェ・シヨルでは菊池恵楓園 絵画クラブ「金陽会」の作品と『物語るテーブルランナー』とが共演。著書『どうぶつのことば』、絵本『焚書 World of Wonder』(共に羽鳥書店) 他。1960年秋田県生まれ。
会期 | 2022年7月16日(土)~2022年9月4日(日) |
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会場 |
高松市美術館
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住所 | 香川県高松市紺屋町10-4 |
時間 |
9:30~17:00
(最終入場時間 16:30)
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休館日 |
月曜日 7月19日(火) ※ただし、7月18日(月・祝)および8月15日(月)は開館 |
観覧料 | 一般 1,000円(800円) ※65歳以上も一般料金 大学生 500円(400円) 高校生以下 無料
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TEL | 087-823-1711 |
URL | http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/museum/takamatsu/ |
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とにかく、はみ出してる。美術館の展示スペースからも、展示方法からも、はみ出してる。何がはみ出してるかというと、作品も、作家も、そして作品が提示する世界も、スケールが大きい、というか、破格。そして、それは、心を沸き立たせる。楽しくなる。こんな展示は、なかなかない。見ていて飽きない。アートかどうかは、問題ですらない。(もちろん、アートなんだけど)
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(参考図版)《武蔵野皮トンビ》設置風景 2021 © 2021 Tomoko Konoike Courtesy of Kadokawa Culture Museum
※本展では新作を展示します。
制作風景 2022 © Tomoko Konoike
《Dream Hunting Grounds カービング壁画》 秋田県立近代美術館 展示風景 2018/
新田安紀芳氏蔵(アーツ前橋寄託)© Tomoko Konoike