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横山大観の「群青富士」
私が知っている横山大観の富士はリアルな富士図でしたので、今回初めて見た、「群青富士」(大正6年頃)は驚きでした。見た瞬間、尾形光琳の「富士・三壺図屏風」の富士だ!と確信し、大観も琳派を研究していたことを後から知りました。大正2(1913)年の「雲中富士」、大正4(1915)年の「不盡之高嶺」、そして、今回の大正6(1917)年の「群青富士」とこの時期に集中して琳派を学び、その後数多くの富士を描くきっかけになっているそうで、大観に与えた琳派の影響の大きさを感じます。
当館のもう一つの楽しみは、「ロダン館」に行くことでした。先日、図書館で借りた「ロダンの生涯」を読み、自由に部屋の中を歩き回るヌードモデルを観察していたロダンは、人の感情が現れるのは顔だけでなく、全身からも感じ、それを彫像として表現していたことを知り、驚かされました。ロダンが導入した画期的な手法、アセンブリングで、同じ彫像でも角度を変えて見るだけで、違うものに見える不思議さを「地獄の門」で実感しました。